esaura LLC, えそら合同会社

新規事業開発ナレッジ新規事業開発に関するえそらLLCならではのTipsやノウハウをお届けしています

 |  | 

新規事業がうまくいかない人が最初に読むべき「現実的な改善策」

「新規事業を任されたが、何をやっても成果が出ずに焦っている」
「頑張って開発した商品が全然売れず、このままでは撤退せざるを得ない」

このような状況の “つらさ” は、痛いほどわかります。じつは、新規事業の9割が失敗に終わるといわれます。「新規事業がうまくいかないとき、どう軌道修正していくか?」は、重要なポイントです。

このとき、非常にまずいのは、失敗の根本原因を見誤り、的外れな努力を続けてしまうことです。苦しみが増すばかりで、会社が負うダメージも大きくなります。

そこで本記事では、新規事業がうまくいかないときに、まず知っておきたい原因の特定や改善策について詳しくお話しします。

【この記事を読むと得られるメリット】

  • 新規事業が停滞する本当の原因が明確になる
  • 事業を前進させるための具体的な改善アクションがわかる
  • 感情に流されず、冷静に「継続 or 撤退」の判断ができるようになる


新規事業の成功確率を高める実践的な知見を、ぜひ自社の事業にお役立てください。

1. 新規事業がうまくいかない原因は5つに集約される

新規事業が失敗する理由は、突き詰めると5つのパターンに集約されます。まずは自社の状況がどれに当てはまるのか、課題の本質を正確に見極めていきましょう。

  1. 原因1:そもそも誰も欲しくない「自己満製品」を作っている
  2. 原因2:売れる仕組みがなく「良いモノでも売れない」状態に陥っている
  3. 原因3:売れるほど赤字になる「致命的なビジネスモデル」になっている
  4. 原因4:「組織の体質」が新しい挑戦を潰してしまう
  5. 原因5:担当者も経営層も「覚悟」が決まっていない

1-1. 原因1:そもそも誰も欲しくない「自己満製品」を作っている

新規事業が行き詰まる最も根深い要因は、 “顧客の真のニーズ” と “製品・サービスのコンセプト” が根本的にずれていることです。

たとえ社内で「革新的だ」「競合にない機能だ」と高く評価されたアイデアでも、肝心の顧客にとっては、価値を感じられない場合があります。

これは企業側の思い込みや願望が先行し、市場の実態を正確に把握しないまま開発を進めてしまうことから生じます。具体的には、以下のリストに当てはまるものはありませんか。

【自社の状況を振り返るチェックリスト】

  • 机上の市場調査のみで顧客の生の声を聞いていない:
    アンケートやデータ分析だけに頼り、実際の顧客との対話を怠ると、表面的な理解しかできません。顧客自身も気づいていない潜在的な課題や不満を掘り起こすには、コミュニケーションを直接取ることが不可欠です。
  • 社内の成功体験や技術シーズが出発点になっている:
    過去に成功した手法や保有技術を活用したい意向が強いと、市場ニーズよりも自社都合を優先してしまいます。「この技術を使って何かできないか?」という発想では、顧客起点の価値創造ができません。
  • 競合分析が不十分で差別化ポイントが曖昧になっている:
    既存の競合製品をよく理解して、明確な違いを打ち出せていないと、顧客にとって「わざわざ乗り換える理由」がありません。後発参入であれば、なおさら「既存製品との違い」が求められます。
  • ターゲット顧客の設定が漠然としている:
    「すべての人に使ってもらいたい」という発想では、誰の心にも刺さらない平凡な製品になります。具体的な顧客像を描き、その人が抱える具体的な課題にフォーカスすることが不可欠です。

このように顧客視点を欠いた製品開発は、どれだけ技術的に優れていても、市場で受け入れられません。

“顧客が本当に求めているもの” と、 “企業が提供しようとしているもの” のギャップを埋めることが、新規事業を成功させる第一歩となります。

1-2. 原因2:売れる仕組みがなく「良いモノでも売れない」状態に陥っている

製品・サービスのコンセプトが市場ニーズに合致していても、それを顧客に届ける仕組みがないと、売上は伸びません。

多くの新規事業では、知名度や信頼度がゼロからのスタートとなります。既存事業以上に、戦略的なマーケティング・販売活動が必要なのです。

しかしながら、製品開発には注力する一方で「どうやって売るか?」の検討が、後手に回る企業も少なくありません。

【自社の状況を振り返るチェックリスト】

  • 顧客獲得チャネルが限られており認知度が上がらない:1つの集客手段に依存していると、そのチャネルの効果がなかったとき、打つ手がなくなります。Web広告・展示会・紹介営業・コンテンツマーケティングなど、複数の経路を組み合わせて、見込み客の獲得数を安定させなければなりません。
  • 営業プロセスが属人的で再現性がない:担当者個人のスキルや人脈に依存した営業では、組織的な拡販は困難です。見込み客の発掘から契約締結まで、誰でも一定の成果を出せる手順とツールを整備する必要があります。
  • 既存事業のチームが新規事業に協力してくれない:>社内の各チームが慣れ親しんだ既存商品を優先し、新規事業への取り組みが後回しになることがあります。メンバーの心情に依存しない、新規事業専用の取り組み体制を構築しなければなりません。

「良い製品だから、自然と顧客に届くだろう」と製品力を信じることは、否定しません。しかし、たとえ届くとしても、仕組みなしでは、非常に長い時間がかかることは覚えておきましょう。

良い製品こそ、きちんと仕組みを整え、早く顧客に届ける努力をすべきです。

1-3. 原因3:売れるほど赤字になる「致命的なビジネスモデル」になっている

製品が売れても利益が出ない、むしろ売上が増えるほど損失が拡大するという状況は、新規事業にとって致命的です。価格設定やコスト構造に根本的な問題があることを示しており、早急な改善が必要です。

とくに市場シェア獲得を急ぐあまり、採算を度外視した価格設定をしてしまうケースが散見されます。

【自社の状況を振り返るチェックリスト】

  • 価格設定が低すぎて粗利率が確保できない: 競合対策や市場浸透を目的とした安価な価格設定が、収益を圧迫している場合があります。“顧客が感じる価値” に見合った適正価格を設定し、段階的な値上げも視野に入れなければなりません。
  • 固定費が重く損益分岐点が高すぎる: 初期投資や人件費などの固定費が過大だと、相当な売上規模を達成しないと黒字化できません。変動費化できる部分は、外部委託やクラウドサービスの活用で柔軟性を高めることが重要です。
  • 収益モデルが単一で安定性に欠ける: 1回限りの売り切り型だけでなく、継続課金やサービス提供による “安定収入の仕組み” を組み込んでおかないと、事業の持続性が低下します。
  • キャッシュフロー管理が甘い: 売上は立っているが回収に時間がかかる、あるいは先行投資の負担が重いなど、現金収支の悪化で事業継続が困難になるケースがあります。

短期的な成長を追求するあまり、長期的な収益性を犠牲にしてしまうと、結果的に事業の持続が不可能になってしまいます。

1-4. 原因4:「組織の体質」が新しい挑戦を潰してしまう

意外な盲点ですが、新規事業の成否は、アイデアや市場環境だけでなく、企業の組織文化や体制にも大きく左右されます。

とくに大企業では、長年培われた慣習や価値観が新しい取り組みの障壁となることが少なくありません。既存事業で成功してきた企業ほど、変化を受け入れにくい傾向があります。

【自社の状況を振り返るチェックリスト】

  • 失敗を許容しない完璧主義の雰囲気がある: リスクを嫌い、成功確率の高い取り組みしか認めない組織では、イノベーションは生まれません。新規事業には失敗リスクが伴うことへの寛容性がなければ、萎縮しながらのチャレンジとなり、失敗確率が高くなります。
  • 意思決定プロセスが複雑で機動性に欠ける: 何重もの承認手続きや部門間調整に時間がかかると、市場の変化に素早く対応できません。新規事業には既存事業とは異なる、スピード感のある意思決定が不可欠です。
  • 既存事業の部門との利害対立や縄張り争いがある: 新規事業が成長すると既存事業のリソースや顧客を奪う可能性がある場合、社内で抵抗勢力が生まれることがあります。全社的な視点での事業ポートフォリオ戦略と、部門間連携の仕組みづくりが重要です。
  • 新規事業に適した人材や評価制度が十分ではない: 既存事業で活躍してきた人材が、新規事業でも力を発揮できるとは限りません。起業家精神や変化への対応力を持つ人材の登用と、短期成果にとらわれない評価制度の導入を考えなければなりません。

1-5. 原因5:担当者も経営層も「覚悟」が決まっていない

成功した事業の多くに見られるのが、「関係者全員の強いコミットメント」です。

しかし実際には、担当者は他業務と兼任で十分な時間を割けない、経営層は短期的な成果を求めすぎるなど、中途半端な取り組みに終わってしまうケースが後を絶ちません。

【自社の状況を振り返るチェックリスト】

  • リソース投入が不十分で競争力を確保できていない: 人材・予算・時間のいずれかが不足していると、競合他社に対抗できる製品・サービスの開発はきわめて難航します。
  • 短期成果への過度な期待で方向性がぶれる: 新規事業は通常、収益化まで数年を要します。にもかかわらず、四半期や年次の業績プレッシャーから、短期的な成果を追わざるを得ないケースが散見されます。本来の戦略から逸脱し、場当たり的な対応に陥ってしまいます。
  • 責任の所在が曖昧になっている: 失敗に許容的な文化は必要ですが、一方で「新規事業の責任を誰が負うのか?」が明確でないと、関係者が消極的になります。
  • 長期ビジョンがなく一貫性に欠ける: 「新規事業をやりたい」という意思はあっても、それが将来的に会社にどのような価値をもたらすのか、ビジョンが不明瞭では失敗します。現場の判断に迷いが生じ、一貫性が保てないからです。

新規事業への取り組み姿勢は、成果に直結する重要な要素です。「やってみる」程度の軽い気持ちではなく、「絶対に成功させる」という強い意志と、それを形にする具体的な行動が問われます。

2. 対策を打つ前に経験者との「壁打ち」が非常に有効

ここまでお読みいただき、失敗の原因が見えてきたかもしれません。この後、改善策について解説を進めていきますが、その前にお伝えしたいのが、「経験者との壁打ちの重要性」です。

当事者であるあなたは、知らず知らずのうちに視野が狭くなり、課題認識そのものがズレている可能性があります。そのまま進めば、かえって損害が大きくなるリスクさえあります。そこで有効なのが、第三者である経験者との壁打ちです。

理想的な壁打ち相手は、同じように新規事業で苦しみ、乗り越えた経験を持つ社外の人物です。異業種の経営者や、新規事業を専門とするコンサルタントやメンターを探すのもよいでしょう。

えそらLLCでは、上記のような壁打ちをしたい方へ、無料でカジュアル相談を実施しています。

新規事業の課題を第三者と壁打ちする様子。えそらLLCによる無料カジュアル相談の案内バナー

第三者視点で意見やアドバイスが欲しい方は、その場でお答えする形で、無料でご相談いただけます。悩みや相談内容が、まだ整理されていない状態でもまったく問題ありません。お気軽にお申し込みください。

通常の「お問い合わせ」はこちらから

3. うまくいかない新規事業を立て直す改善策

さて、ここからは具体的に新規事業をどう立て直していけばよいのか、5つのパートに分けて見ていきましょう。

  1. 改善策1:顧客ニーズを徹底検証して市場に求められる製品を作る
  2. 改善策2:多角的なマーケティング戦略で売れる仕組みを構築する
  3. 改善策3:収益性の高いビジネスモデルに設計し直す
  4. 改善策4:新規事業に適した組織体制と企業文化に変革する
  5. 改善策5:経営層と担当者の本気度を明確にして長期コミットする

3-1. 改善策1:顧客ニーズを徹底検証して市場に求められる製品を作る

自己満足な製品開発から脱却し、本当に顧客が欲している価値を提供するためには、顧客理解の深化が最優先課題です。

3-1-1. ペルソナを具体的に設定する

ターゲット顧客を明確にし、かつその顧客像を深く理解するためにまず取り組むべきなのが、「ペルソナ設定」です。

ペルソナとは、まるで実在する人物のように詳細に描いた典型的・代表的な顧客像のことです。

具体的には、年齢・職業・収入・家族構成・価値観まで含めた詳細プロフィールを作成し、ニーズや解決したい課題を明文化します。情報収集行動やコミュニケーション手段の特徴も具体的に想定しておきます。

新規事業のターゲットユーザーを具体化したペルソナ設計の図解。

ペルソナ設定では、想像で作るのではなく、実在の顧客やそのデータに基づいて、リアリティーを追求することが鍵です。

真の顧客像として活用できる実用性の高いペルソナを設定すれば、顧客視点での製品開発やマーケティング活動の基点として、非常に役立ちます。

詳しくは「UXデザインにおけるペルソナの作り方を徹底解説!」の記事もあわせてご覧ください。

3-1-2. 顧客インタビューを実施する

机上の分析だけでは見えない顧客の本音や潜在ニーズを把握するためには、とにかく “顧客と直接話をすること” に尽きます。

まずは、ターゲット層の代表的な顧客20人への個別インタビューを敢行しましょう。20人の話をじっくり聞けば、自己満足的な製品を作ってしまうリスクは、まず回避できます。

このインタビューと前後して、前出のペルソナに改良を加えていくのも良い方法です。ペルソナの実用性がさらに高まります。

インタビューについては、「現役リサーチャー直伝!ユーザーインタビュー11のテクニック【保存版】」の記事も参考にしてみてください。

3-1-3. MVP(実用最小限の製品)で仮説検証する

製品開発で完成を目指す過程では、開発担当者はじめ、さまざまな関係者の考えや思惑に引っ張られ、顧客視点を失うリスクがあります。

また、どれだけ事前にリサーチを重ねても、仮説のとおりに市場が反応するとは限りません。

そこでおすすめなのが、MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)を使って、試作品で市場検証しながら開発していく手法です。

製品コンセプトを検証するためのMVP(実用最小限の製品)を使った市場テストのイメージ。

出典:MVPで新規事業を成功に導く!実践ガイドと成功事例6選

初期投資や開発リスクを最小限に抑えながら、市場ニーズに適合する製品を確実に開発できます。

MVPについて詳しくは「MVPで新規事業を成功に導く!実践ガイドと成功事例6選」の記事もあわせてご覧ください。

3-2. 改善策2:多角的なマーケティング戦略で売れる仕組みを構築する

次に、戦略的なマーケティング・販売体制の構築にも取り組んでいきましょう。

3-2-1. 顧客獲得チャネルを多角化する

「単一の集客手段に依存しないこと」は、新規事業の成功確率を高めるうえで重要です。

ある程度の選択と集中は必要ですが、1つの勝ちパターンが永遠に続く保証はありません。むしろ近年では成功手法の有効期限が、年々短くなっている傾向にあります。

常に複数のチャネルを試しながら、いつでも次の打ち手に切り替えられるよう、プランBを用意しておくスタンスが大切です。

3-2-2. 営業システムを構築する

営業活動が重要となる事業の場合、営業担当者の個人的なスキルや勘に頼る「属人的な営業」から、組織として成果を出す「仕組み化された営業」への転換が不可欠です。

具体的には、見込み客発掘から成約までの各ステップを標準化し、誰が担当しても一定の成果を出せる仕組みを構築しましょう。

その進捗管理や情報共有には、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)といったツールを導入し、営業活動を可視化しながら効率を上げていくことが鍵となります。

3-2-3. カスタマーサクセスで継続率を高める

新規顧客の獲得の難易度が高くなっている近年、「既存顧客の維持」の戦略なくして事業成功はない状況となっています。

新規獲得のマーケティング活動、営業活動と並んで、“攻めの顧客サポート” ともいえるカスタマーサクセス活動を新規事業の戦略に組み込んでください。

カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを通じて成功体験を得られるよう、能動的に支援する活動を指します。顧客満足度と継続利用率を高め、事業の収益性を直接的に向上させる戦略です。

基本的な概念は、『カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」』といった書籍で体系的に学ぶのがおすすめです。

3-3. 改善策3:収益性の高いビジネスモデルに設計し直す

続いて、ビジネスの収益性に関する改善を検討しましょう。

3-3-1. 単価とコスト構造を根本から見直す

まずは、今の価格設定とコスト構造が本当に適切か、ゼロベースで見直します。

目先のシェア拡大のために安売りするのではなく、持続的に利益を生み出すことを最優先に考えましょう。

  • 提供している価値に見合わない安すぎる価格になっていないか
  • 原価や調達コストに無駄はないか
  • 業務プロセスを効率化・自動化できないか

といった視点で徹底的に洗い出し、コスト構造を最適化します。

3-3-2. 収益モデルを多様化する

1つの事業の中でも、複数の収益機会を創出できると、安定性が増してきます。

【収益モデル多様化の例】

  • 基本機能を無料で提供し、高度な機能は有料にするフリーミアムモデル
  • 売り切り型の製品に加えて、消耗品を定期的に届けるサブスクリプションモデル
  • 関連商品をおすすめして顧客単価を上げる(クロスセル)
  • コミュニティの運営

競合が簡単に真似できない独自の収益構造を構築できれば、市場環境の変化に対する耐性が高まります。

3-3-3. キャッシュフローの視点を持つ

新規事業では、帳簿上の利益(黒字)が出ていても、手元資金が尽きてしまう「黒字倒産」のような状態に陥るリスクが常にあります。

この点に関する意識は、経営層と現場の責任者とで大きく乖離していることがあり、双方のコミュニケーションがすれ違う理由となります。経営層は「キャッシュ(資金繰り)」を重視していますが、現場の責任者はPL(損益計算書)上の売上や利益を追いがちだからです。

既存事業の場合はPL管理が中心だった責任者も、新規事業ではキャッシュフローの視点を持ってください。経営層と同じ視点でコミュニケーションできると、より的確な経営判断や必要な支援を引き出しやすくなります。

3-4. 改善策4:新規事業に適した組織体制と企業文化に変革する

既存事業とは異なる特性を持つ新規事業を成功させるためには、組織構造や企業文化の変革も進めなければなりません。これは経営層が主導すべきテーマですが、現場責任者の立場からも、変容に向けてはたらきかけることが重要です。

3-4-1. 新規事業の専門チームを独立させる

既存事業の慣習や社内のしがらみにとらわれることなく、新規事業に専念できるよう、独立した専門チームを組織しましょう。

意思決定の迅速化と責任の明確化は、市場の変化にスピーディーに対応しながら新規事業を推進するために、欠かせません。

専門チームは形骸的なものではなく、予算執行権・人事権・事業戦略の決定権など一定の権限を与え、機動的に動ける実態を持たせることも大切です。

3-4-2. 失敗を許容する評価制度に変更する

「挑戦しろ」と口で言うだけでは、文化は変わりません。それを裏付ける評価制度が伴う必要があります。失敗を恐れることなく、挑戦的な取り組みを奨励する評価制度へ転換しましょう。

制度が先行して、失敗を許容する文化が育ち、メンバーが安心して挑戦できる環境が整います。この心理的安全性は、創造性と生産性の向上に欠かせない土台となるものです。

3-4-3. 外部人材・パートナーを積極的に活用する

社内リソースだけでは補完が困難な専門知識・経験・ネットワークは、外部から積極的に取り入れましょう。オープンイノベーションの考え方が、新規事業の成功確率と成長スピードを向上させます。

たとえば、技術を持つスタートアップと提携したり、業界の専門家とアドバイザー契約を結んだりする方法があります。社内だけでは生まれなかった新しい視点やアイデアを、社外からどんどん吸収しましょう。

3-5. 改善策5:経営層と担当者の本気度を明確にして長期コミットする

最後に、新規事業の成功に不可欠なコミットメントの高め方を見ていきましょう。

3-5-1. 明確なコミットメントを設定する

経営陣と担当者が共有する「具体的で測定可能な目標」を設定し、その達成に向けた責任とコミットメントを明文化します。曖昧な期待ではなく、数値目標と期限を明確にすれば、全関係者の意識と行動の方向性を統一できます。

経営陣の公式コミットメントを社内外に発信することや、成果に応じたインセンティブ設計によって、メンバーの動機付けを強化することも大切です。

3-5-2. 十分なリソース投入の確約を取り付ける

社内の新規事業担当者の立場であれば、コミットメントと引き換えに、成功に必要な人材・資金・時間・設備などのリソース投入の確約を経営陣から取り付けることも、非常に重要なポイントです。

中途半端なリソース配分では競合に対抗できず、結果的に投資全体が無駄になるリスクがあることを説明し、必要十分なリソースを確保してもらいましょう。

ここで自己犠牲的に精神論でがんばるのではなく、必要なものをきちんと要求したうえでコミットする姿勢は、新規事業を成功させる鍵となります。

3-5-3. 成功へのロードマップを具体化する

根拠のない期待や精神論だけでは、事業は前に進みません。成功への道のりを具体的に描き、チーム全員が共有できる「地図」としてのロードマップが必要です。

最終ゴールだけでなく、市場分析に基づいた現実的な中間目標(マイルストーン)と、各段階での具体的な行動計画をビジョンとして掲げましょう。

4. 傷が深くなる前に「撤退判断」する冷静な見極め方

努力を続けても状況が好転しない場合には、前に進むことだけが正解ではありません。傷が深くなる前に、冷静に「撤退」を判断することも、事業責任者の重要な役割です。感情論に流されず、賢明な意思決定を下すための考え方を学んでおきましょう。

  1. 「いつまでに・何が・どうなったらやめるか」を事前に決める
  2. 方向転換(ピボット)を「学び」に基づく戦略的判断と捉える
  3. 「ここまで投資したから」という感情を完全に排除する

4-1. 「いつまでに・何が・どうなったらやめるか」を事前に決める

的確な撤退判断を下すには、感情を挟む余地のない、客観的な基準をあらかじめ設定しておくことが不可欠です。

なぜなら、人間はいざ追い詰められると、「もう少し頑張れば……」という希望的観測や、「なんとかしたい」という感情に流されてしまうものだからです。

「18カ月後の月次売上が○○円に満たない場合」「24カ月後の顧客獲得数が○○人を下回る場合」といった具体的な数値目標と期限を決め、これらの基準を下回った場合の撤退ルールを事前にチームと経営層で合意しておきましょう。

4-2. 方向転換(ピボット)を「学び」に基づく戦略的判断と捉える

一方、当初の計画通りに進まないからといって、すぐに諦める必要はありません。ここで得られた「学び」こそが、次なる成功の鍵を握っているからです。

スタートアップの世界では「早く失敗し、早く学ぶ(Fail Fast, Learn Fast)」という考え方が重視されています。最初の仮説が外れるのは珍しいことではなく、むしろ当然のことです。

顧客インタビューや市場テストから得られたフィードバックを分析すれば、新たなチャンスの種が見つかることが多いでしょう。

戦略的なピボットにより、失敗を学習の好機に変え、大きな成功につなげてください。

4-3. 「ここまで投資したから」という感情を完全に排除する

「ここまで時間とお金をかけたのだから、今やめたらもったいない」という感情は、事業撤退を決める際の最大の抵抗勢力といっても過言ではありません。

これは「サンクコスト(埋没費用:すでに支払ってしまい、もう取り戻すことのできない費用)の罠」と呼ばれる、典型的な判断ミスです。過去の投資にとらわれるあまり、将来のさらなる損失を招いてしまうのです。

あらかじめ撤退ルールを決めたにもかかわらず冷静な判断が難しい場合には、危険な判断ミスをする前に、事業に直接関わっていない第三者に意見を求めることをおすすめします。

ぜひ、無料で相談できるカジュアル相談をご活用ください。

新規事業の課題を第三者と壁打ちする様子。えそらLLCによる無料カジュアル相談の案内バナー

5. まとめ

本記事では「新規事業がうまくいかないときの原因と対策」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

新規事業がうまくいかない原因は5つに集約されます。

  1. そもそも誰も欲しくない「自己満製品」を作っている
  2. 売れる仕組みがなく「良いモノでも売れない」状態に陥っている
  3. 売れるほど赤字になる「致命的なビジネスモデル」になっている
  4. 「組織の体質」が新しい挑戦を潰してしまう
  5. 担当者も経営層も「覚悟」が決まっていない

対策を打つ前には、経験者との「壁打ち」が非常に有効です。

うまくいかない新規事業を立て直す改善策として、以下を解説しました。

  1. 顧客ニーズを徹底検証して市場に求められる製品を作る
  2. 多角的なマーケティング戦略で売れる仕組みを構築する
  3. 収益性の高いビジネスモデルに設計し直す
  4. 新規事業に適した組織体制と企業文化に変革する
  5. 経営層と担当者の本気度を明確にして長期コミットする

傷が深くなる前に「撤退判断」する冷静な見極め方は、以下のとおりです。

  1. 「いつまでに・何が・どうなったらやめるか」を事前に決める
  2. 方向転換(ピボット)を「学び」に基づく戦略的判断と捉える
  3. 「ここまで投資したから」という感情を完全に排除する

的確なアプローチを続ければ、かならず成功への道筋は見いだせます。本記事でご紹介した知見が、事業を軌道に乗せるための一助となれば幸いです。

監修者

喜多 竜二

えそら合同会社 代表社員/HCD-Net認定人間中心設計専門家

2009年にUXデザインを専門とする「えそら合同会社」を設立、これまでに新規事業をはじめとする200を超える事業を支援してきた。自身は人をより良く理解するための認知心理学を専門とし、生活者に対する共感を出発点としたアイデア創出に力を入れている。東京大学工学部卒業、シドニー工科大学大学院修了。

成功する新規事業アイデアを生み出す7ステップ

新規事業の進め方がわかる!顧客がほしがるプロダクトになるために超えるべき7つの問いを解説しています。

資料をダウンロードする

UXデザインを学べる無料セミナーを開催しています

えそらLLCの無料セミナー一覧

新規事業開発のアイデア出しや、既存サービスの改善に活かせるデザイン手法やノウハウを紹介しています。毎月無料で開催中!

最新のセミナー一覧を見る

Facebook

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報があなたのFacebookページに届きます。

Twitter

「フォローする」ボタンを押すと、最新情報があなたのTwitterに届きます。

DOWNLOAD会社案内ダウンロード

私たちの強みや
実績をまとめた
会社案内を
ダウンロードいただけます。

会社案内ダウンロード

CONTACTお問い合わせ

新規事業や
UXデザインについての
ご相談を
お待ちしております。

お問い合わせ