今回は、様々なスタートアップが提供する商品やサービスの中から、特に優れたUXを提供している、つまりこれまでになかった体験や価値を生活者に届けているという意味で、わたしたちが注目しているものをいくつか取り上げご紹介したいと思います。
目次
傘はシェアする時代へ!使い捨てのような傘の在り方を一新
アイカサ(iKasa)
ここ何年か前から、ゲリラ豪雨なるものが増え、出先で雨に振られること増えましたよね。そんな時に限って傘を持ってなかったりして、コンビニのビニール傘を買って凌ぎますが、気づけば家に何本も傘があったり…。
アイカサは、傘を持ち歩かなくても外出先で傘が使い放題になるサービスで、アイカサスポットという場所から、LINEとQRコードを使って傘を借り、返す時は別のアイカサスポットに返却ができるようになっています。料金は1日70円とコンビニで傘を買うよりも断然安く設定されており、傘を持ち歩かない人にとっては大変嬉しい金額設定ですね。(1ヶ月の中で420円以上はかからないようにもなっているので、雨が多く降られるほどお得なようです。)
さらにこのアイカサスポットは、店舗などの空いているスペースを中心に展開されており、雨の日にお店に利用者を集客するのにも貢献できるので、サービス主体、スポット周辺の店舗、傘の利用者三者にとってメリットのある構造になっているのが素晴らしいサービスだと思います。
コインロッカーいらずに手ぶら観光
ecbo cloak(エクボクローク)
日本への外国人旅行客が増えたことと民泊の広がりもあってか、ここ最近大きなスーツケースを持って歩く人たちをよく見かけるようになりましたね。大きな荷物を持って歩いている方の身になると、あの荷物を持って電車に乗ったり人混みの中を歩くのは大変だろうなと感じます。
エクボクロークは海外観光客や地方からの旅行者をターゲットとしたサービスで、利用することで街中にある様々な店舗に、荷物を預けておくことができるようになります。駅のコインロッカーに入れればとも思いますが、大きなスーツケースだと入らない場合があったり、大きな物が入るロッカーは埋まっていたりとなかなか気軽に利用できない場合もあると思います。このサービスを利用することで、旅行中大きな荷物を持ち歩かなくてよくなり、観光に集中できるようになるのは旅行者にとって嬉しいのではないでしょうか。料金も小さいサイズだと300円/日、大きいサイズでも600/日とコインロッカーを使うのと変わらない値段設定になっているようです。
また、このサービスもアイカサと同じく、荷物を預かる方の店舗にも、空いているスペースを有効活用することで利用者の集客ができるというメリットがあり、関係する人々がみんな嬉しい構造になっています。
定額制テイクアウトランチサービス
POTLUCK(ポットラック)
皆さんは平日のランチタイムはどんなふうに過ごしていますか?オフィスからは離れたお店で同僚との会話を楽しむ方もいれば、自席で一人でお昼を済ませて自分の時間を確保する方など、人によって様々な過ごし方をされていると思います。ただ最近では「ランチ難民」という言葉が聞かれるようになるくらい、外食するにしても混雑していてゆっくり過ごせなかったり、コンビニや弁当屋さんも長蛇の列で買うまでに時間がかかったりと、1時間というお昼休みの時間管理もなかなかシビアですよね。
ポットラックは、そんなランチ難民を救おうと生まれた、月額定額性で色々なお店のランチをテイクアウトできるサービスです。利用者はポットラックの中で30日間有効な回数券を購入し、サイトを通じて事前にメニューと受け取り時間を指定しておけば、お店で行列に並んだりその場でお金を払う必要なく、ランチを受け取れる仕組みになっています。外食派や中食派にとっては当たり前だった、お店を決めたり並んだりする時間を無くして、ランチタイムを午後に備えてのリフレッシュの時間としてゆったりと過ごせそうですね。
またこのサービスも、もう一方の利用者である登録店舗にとっても嬉しいということを意識しており、回数券制で利用客が色々なお店のメニューが選べるようになっていることは、認知を目的としてランチを営業している店舗にとって、通常営業では集客し得なかった客層にも認知してもらうことができます。また、事前予約制のため、ただでさえ忙しいランチ時間帯のオペレーション負荷を高めることなく、ランチの売上アップを狙えるという仕組みになっています。
まとめ:常識を覆しつつ、三方良しのサービスを
傘は家から持って行って持って帰るもの、旅行荷物はホテルやロッカーに預けるもの、外食中食ランチはお店に並んで手に入れるもの、といったこれまでの当たり前を壊しつつ、店舗も巻き込んで常識の構造を作り変えてしまう様は、まさにスタートアップならではだと思います。一見アイデア勝負のようにも見えますが、どれも現場へのヒアリングや、そこから生成される仮説に対する検証を繰り返していくことで、今の形になっていったもので、UXデザインプロセスの重要性を再認識できるサービスだと思います。
どうすれば常識を壊すようなサービスを考えられるかわからない…とお悩みの方はご相談に乗りますので、ぜひお問い合わせください。