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新規事業アイデアに悩む初心者向け|事例・出し方・評価まで解説

「新規事業アイデアを出せと言われたけど、何をどうしたらいいかわからない」

「新規事業の事例をたくさん探してみたけれど、自社にどう応用できるかイメージできない」

「思いついた新規事業のアイデアを、本当に進めていっていいのか不安」 新規事業を任された担当者が最初に直面するのは、「どうやってアイデアを考えるか・育てていくか」という大きな壁です。既存事業の改善とは異なり、新規事業は「顧客の課題を新しい切り口で解決する」ことが求められます。

優れた新規事業アイデアの例
・お坊さん便:不透明だった葬儀のお布施を定額手配
・PostCoffee:嗜好に合わせたコーヒーを定期的にお届け
・Timee:面接無しですぐに働けるスキマバイトアプリ
・embot:段ボールのロボット教材×プログラミング学習
・シェアダイン:出張シェフが家庭に訪問して調理
・NOT A HOTEL:ホテルと別荘を融合させた不動産モデル

しかしながら、新規事業にかかわって間もない担当者ほど、アイデアをゼロから発想するのは難しく、表面的な真似に終わってしまうと市場に受け入れられないリスクも高まります。

そこで本記事では、初心者でも実践しやすい「新規事業アイデア創出の進め方」を段階的に解説します。

新規事業アイデア創出の進め方
新規事業アイデアの出し方
①先行事例から発想する
②思考法を活用する
↓
新規事業アイデアの評価方法
蓋然性・解決性・収益性の3つの軸で判断する
↓
新規事業アイデアの展開方法
SWOT分析などのフレームワークを使う

まずは優れた事例から学び、次に思考法やフレームワークを活用してアイデアを広げる方法を紹介します。そのうえで、アイデアを評価・展開し、最後に「顧客理解から問いを設計する」という本質的な考え方までをお伝えします。

読み終わる頃には、「事例を参考にするだけでなく、自社ならではの新規事業アイデアをどう作り、どう磨いていけばいいか」が分かり、実際の会議やプロジェクトで活かせる具体的な手順が身につくはずです。

ぜひ最後までお読みください。

目次

1. 新規事業アイデアとは?優れた新規事業の事例16選

新規事業のアイデアとは、既存の枠にとらわれず、新たな価値を生み出す製品・サービス・仕組みのもととなる思いつきや考えをいいます。

「顧客の課題解決につながる」「市場性や収益性が見込める」「差別化できる」といった要素が、優れた新規事業の条件です。

近年では、BtoC(一般消費者向け)・BtoB(法人向け)を問わず、スタートアップの機動力や大企業の資本力を活かした多様な新規事業が誕生しています。

こうした表面的な説明だけではイメージしづらいと思いますので、以下に、優れたアイデアを活かした新規事業の例を、BtoC・BtoBと企業規模の組み合わせで分類した表にまとめました。

【BtoC×スタートアップの優れた新規事業の例】
新規事業名 サービス内容
お坊さん便(株式会社よりそう)これまで不透明だった葬儀のお布施を「オンラインで定額手配」できるサービス
従来の慣習に切り込み、価格の透明性と利便性を提供した点が革新的
PostCoffee(POST COFFEE株式会社)ユーザーの嗜好に合わせたコーヒーを定期的に届けるサブスクリプション型サービス
診断と組み合わせることで「個別最適化×定期便」という新しい体験を生んだ
スナックミー(株式会社スナックミー)健康志向のおやつをAIによる嗜好分析でパーソナライズ配送するサービス
大量生産ではなく「一人ひとりに合う商品提供」という価値を打ち出し、食品D2C市場で独自性を確立
ブルーミー(ユーザーライク株式会社)季節の花をポストに届けるサブスクサービス
花を買うハードルを下げて、「自宅で花を楽しむ」という新しいライフスタイルを広げた
Timee(株式会社タイミー)働きたい人と人手不足の店舗を即時マッチングするスキマバイトアプリ
求人や面接を省略して「すぐ働ける・すぐ人が欲しい」という双方のニーズをテクノロジーで解決した点が優れている
【BtoC×大企業の優れた新規事業の例】
新規事業名 サービス内容
embot(株式会社e-Craft)
※NTTドコモからスピンアウト
段ボールで作るロボット教材とプログラミング学習を組み合わせたEdTech
従来の慣習に切り込み、価格の透明性と利便性を提供した点が革新的
【BtoB×スタートアップの優れた新規事業の例】
新規事業名 サービス内容
シェアダイン(株式会社シェアダイン)出張シェフが家庭に訪問して調理するサービス
共働き世帯や子育て世代の「食事準備の負担」を解決し、食の体験そのものをシェアリングした新しい形
Akerun(株式会社 Photosynth)後付け可能な入退室スマートロックサービス
工事不要でデジタルでロックできる技術を活用して、企業や個人のセキュリティ・管理コストを大幅に改善した
SmartHR(株式会社SmartHR)労務手続きをクラウドで完結できるクラウド人事労務ソフト
煩雑で非効率だった人事労務の作業を効率化して、日本のバックオフィス業務のDXを牽引している
NOT A HOTEL(NOT A HOTEL株式会社)ホテルと別荘を融合させた不動産モデル
シェア購入した物件を利用しない時はホテルとして貸し出せる仕組みを構築して、ライフスタイルと資産運用を両立させた
クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)オンラインで契約締結できる電子契約サービス
印鑑文化の不便を解消し、法的効力と利便性を両立したことで、企業の契約業務を変革した
【BtoB×大企業の優れた新規事業の例】
新規事業名 サービス内容
スマートコンストラクション(株式会社EARTHBRAIN)
※前身は株式会社小松製作所
CT建機やドローンを活用して土木工事を効率化するソリューション
人材不足・生産性の低さという建設業界の構造課題を解決し、次世代インフラ整備を推進
Booking Car(トヨタ自動車)カーシェア・レンタカー統合サービス
自動車の「所有から利用へ」という大きな流れに対応して、モビリティ体験を進化させた
jinjer(jinjer株式会社)
※ネオキャリアの新規事業
人事・勤怠・経費精算などバックオフィス業務を統合管理するクラウドサービス
複数システムを横断する課題を解決するシリーズを展開して、中堅〜大企業にスムーズに浸透
premedi(キリン株式会社)
※ネオキャリアの新規事業
調剤薬局向け置き薬サービス
飲料大手がヘルスケア事業に進出することで、新市場を切り開いた事例

有名な事例も含むのでご存じのものも多いのではないでしょうか。これらの事例はいずれも、既存の市場や顧客課題に対して新しい切り口や仕組みを加えることで、明確な顧客課題の解決と独自の価値提案を実現でき、成功につながったと考えられます。

BtoCでは生活者の利便性や体験価値を、BtoBでは業務効率化やコスト削減を軸にしたサービスが目立ちます。

新規事業のアイデアを考えるうえでは、こうした既存事例の分析から学べる要素が多い一方で、単なる模倣ではうまくいきません。重要なのは、事例から得たインスピレーションを自社の文脈に落とし込み、オリジナルの価値に昇華することです。

次章からは、初心者でも取り組みやすく、実践的にアイデアを形にできる4つの方法を順番に解説していきます。

2. 新規事業アイデアの出し方1:先行事例から発想する

新規事業アイデアの作り方として、もっとも手軽で着手しやすいのが「事例を参考にする」方法です。

とくに「初めて新規事業開発に関わる」という初心者や、とにかく数多くのアイデアを出してブレーンストーミングの題材にしたいという場合などに、先行事例や他社の取り組みを見ることで発想の幅が一気に広がります。

ただし、事例はあくまでヒントであり、そのまま真似してもうまくいくとは限りません。背景や市場環境、顧客層が違えば、同じアイデアでも結果はまったく異なります。

この注意点を踏まえつつ、先行事例から新規事業アイデアを創出する方法、メリット・デメリットなどを解説していきます。

2-1. 先行事例から新規事業アイデアを作るステップ

事例から新規事業アイデアを作る場合には、ゴール設定→先行事例の収集→分析→絞り込みと具現化→検証の流れで進めると効果的です。

事例から新規事業アイデアを作るステップ
・STEP1:新規事業のテーマとゴールを設定する
・STEP2:生成AIなどを活用して、国内外の先行事例を幅広く収集する
・STEP3:成功している新規事業の傾向を分析する(分野ごとの傾向や頻出技術・モデル)
・STEP4:自社に適した候補に絞り込んで、アイデアを具現化する
・STEP5:簡易リサーチを実施して事業化の可能性を検証する

事例から新規事業アイデアを作る例
STEP1:教育業界の企業が、今回は幼児教育の分野で「新規事業に活かせそうなアイデアの種を見つける」というゴールを設定したとします。

STEP2:生成AIのDeepResearchなどを活用して国内外で「先行プレイヤー調査を実施してください」と指示して情報を集めます。

STEP3:収集したデータを見て「どんな技術やビジネスモデルが使われているか」を分類していきます。

STEP4:自社に合わない事例は切り捨てて、自社の技術などとマッチしているアイデアや成長性などを加味して、期待できるアイデアを3件程度まで絞り込みます。

STEP5:最後に、競合の状況や市場の大きさ、需要動向を検証し、さらにインタビュー調査・アンケートを実施して、具体的な事業アイデアを練っていきます。

事例から新規事業アイデアを作っていくには「多くの事例を集めること」「傾向をしっかり分析すること」、そして「自社の強みとのかけ合わせ」というプロセスが非常に重要となります。

2-2. 先行事例から新規事業アイデアを作るメリット・デメリット

事例からアイデアを作る方法は、着想を得やすく市場動向も把握できる反面、模倣リスクや自社適合性の欠如といった落とし穴もあるため、使い方を誤らないことが重要です。

事例をもとに考えることで、成功パターンや新しい技術・市場構造に触れられます。特に海外事例や異業種事例は、未知の切り口や将来性のある市場を知るきっかけになります。一方で、少数事例の模倣や表面的な真似に終始すると、自社の文脈に合わず事業化が難しくなる危険があります。

先行事例から新規事業アイデアを作るメリット
・発想の幅を広げたり、インスピレーションを得たりできる
・成功パターンを短期間で学べる
・市場全体やトレンドだけでなく、新興市場の全体像も俯瞰できる
・自社の強みとの掛け合わせポイントが見つかる

先行事例から新規事業アイデアを作るデメリット
・事例の数が少ないとアイデアが偏りやすい
・表面的な真似では顧客価値を提供できない
・市場やニーズの違いを見落とすリスクがある
・アイデアの選定方法や検証を間違うと、成功に結びつきにくい

事例活用は新規事業の発想力を高める有効な手段ですが、数と多様性を確保したうえで自社の文脈に合うよう再構築することが欠かせません

初心者でも着手しやすいアイデア創出法ですが、デメリット・注意点をしっかりと把握したうえで取り組むことが大切です。

2-3. 先行事例から新規事業アイデアを作るときのポイント

事例は幅広く集め、成功要因や背景を分析したうえで、自社に合う形に再構築することが重要です。

事例収集はできれば国内外から100件規模で行い、傾向分析や自社リソースとのマッチングを経て絞り込むプロセスが必要です。これにより、単なる模倣ではなく、自社ならではの価値提案につながるアイデアを生み出せます。

先行事例から新規事業アイデアときのポイント
・事例はできるだけ幅広く多く集める(たとえば100事例など)
・国内だけでなく海外の先進事例も入れて、市場の将来性や新技術のトレンドを把握する
・多様な情報源を使って収集する(Web検索やニュース、CVC投資先リストなど)
・たくさんの事例の中から、自社との事業方向性やリソース適合度、成長性、ビジネスインパクト、法的規制との兼ね合いなどを検討する

先行事例を参考にする発想法は、インスピレーションを得るために効果的な方法ですが、少数の事例だけピックアップしてそのまま真似るのでは上手くいきません。十分な収集・分析・検証をしたうえで「誰に・どんな価値を・どう提供するか」の問いを自社視点で再定義することが大切です。

3. 新規事業アイデアの出し方2:思考法を活用する

新規事業のアイデアを短時間で数多く出したいときに有効なのが、アナロジー発想(異業種の事例を転用する発想法)などの「思考法」を活用する方法です。

とくに「テーマは決まっているけれど、何から考えたらいいかわからない」という場合や、「既成概念にとらわれない発想がほしい」ときに有効です。

ただし、思考法をもとに出したアイデアをそのまま勧めてしまうと、現実のニーズや市場とのズレが生じるリスクがあります。そのため、顧客理解や検証と組み合わせて使うことが大切です。

3-1. 思考法を活用して新規事業アイデアを作る方法

新規事業アイデアを作るために使える思考法はたくさんあり、どの思考法を使うかによってやり方も異なります。

以下に、新規事業アイデアを考えるうえで使える、代表的な思考法をまとめました。

【代表的な思考法と新規事業アイデアの作り方】
思考法 概要 簡単なやり方
アナロジー発想法 他分野・他業界の仕組みや事例を応用する 他業界の成功事例を3つ探し、自社のテーマに置き換えてみる
逆転発想法 常識や前提を逆にしてみる テーマに関する「当たり前」を10個書き出し、それぞれを反対に置き換える(例:買うではなく借りる)
強制連想法 関係のない2つの要素を結びつける 無作為に選んだ単語とテーマを組み合わせて、新しいサービス案を出す
SCAMPER法 既存アイデアを7つの切り口で発展 置き換える・組み合わせる・応用する・変更する・他用途に使う・削除する・逆にする、で既存案を再検討
マインドマップ発想 キーワードから連想を広げる 中心にテーマを書き、自由に関連語を枝状に展開していく

どれも発想を広げるのに有効な思考法ですが、単なる思いつきではなく検証可能な仮説として検証することでアイデアに近づけられます。

アナロジー発想法を活用して新規事業アイデアを作る例
アナロジー発想法とは、「他分野や他業界の事例を自社に置き換えて応用する発想法」です。もともと「類比によって新しい発想を得る」という考え方ですが、新規事業開発では「他業界の成功モデル × 自社の課題」という形で応用されることが多いです。

たとえば、近年注目されているサブスクリプションを「自社のビジネスにも応用できないか?」と考えたときに、お花の定期便やコーヒーの定期配送、お菓子の定期便、そして「個人の健康状態に合わせた栄養サプリメントを毎月カスタマイズして届けるサービス」という新規事業のアイデアが生まれます。

また、飲食業界の「予約アプリ」の仕組みを人材派遣や医療業界に応用するなども考えられます。

3-2. 思考法で新規事業アイデアを作るメリット・デメリット

思考法は短期間で多くの案を生み出せる反面、実需や市場とのズレを引き起こす可能性もある点に注意が必要です。

思考法で新規事業アイデアを作るメリット
・短時間で多様なアイデアを出せる>
・常識にとらわれない斬新な切り口が生まれやすい
・自社の既存市場にないユニークな発想が生まれる
・現状できていない課題や、見えにくい不満を浮き彫りにできる
・1つのアイデアから複数の派生案を生み出せる

思考法で新規事業アイデアを作るデメリット
・現実的に実行困難なアイデアになる可能性がある
・そのままではユーザーに受け入れられないリスクがある
・抽象度が高く、社内の合意形成が難しい場合がある
・実行面の制約(法規制やコスト)を見落としやすい

まったくゼロから考えるよりも効率的に新しい切り口を見つけられるメリットがあります。一方で、元の事例が自社の市場環境や顧客特性に合わない場合は、うまく機能しない可能性もあるため注意が必要です。

思考法は、発想の幅を広げるには非常に有効ですが、それだけで事業化を目指すのは危険です。必ず顧客理解や検証とセットで進めることが重要となります。

3-3. 思考法を活用して新規事業アイデアを作るときのポイント

思考法は、普通では出てこないような革新的なアイデアをひねり出したいときや、とにかくたくさんのアイデアを出したいときに使える方法です。

思考法を活用して新規事業アイデアを作るときのポイント
・アイデアをそのまま具現化するのではなく、ユーザー価値や市場性も検討する
・異業種のアイデアを参考にする場合は、表面ではなく原理や仕組みを抽出して転用する
・極端な利用者や特殊事例を観察し、隠れたニーズを見つける

思考法は、発想を広げる「入り口」として非常に有効です。ただし、ここで出た案はあくまでたたき台であり、後工程での検証とブラッシュアップが欠かせません。

「発想力」と「顧客理解」を組み合わせることで、初めて事業化につながる新規事業アイデアになります。

4. 新規事業アイデアの評価方法:3つの軸で判断する

事例や思考法を使って新規事業アイデアをひねり出せたと思いますが、すべてのアイデアがそのまま事業化に適しているとは言えません。この段階からが本番であり、アイデアを客観的に評価して、実際に成功につながる可能性が高いものを見極める必要があります。

ここでは、出てきたアイデアをふるいにかけるための評価で使う3つの軸について解説します。

新規事業アイデアを評価するときの3つの軸
(1)蓋然性:アイデアの実現可能性はどのくらい高いか
(2)解決性:顧客の課題を解消し、価値を提供できるか
(3)収益性:ビジネスとして継続的に利益を出せるか

「蓋然性」「解決性」「収益性」という3つの軸を使うことで、感覚や思いつきに頼らず、論理的かつ実務的な判断が可能になります。

4-1. 蓋然性(アイデアの実現可能性はどのくらい高いか)

新規事業アイデアの評価でまず確認すべきなのは「蓋然性(がいぜんせい)があるか」という点です。

蓋然性とは、ある事象が実際に起こるかどうか、どのぐらい確実に実現するかの度合いを指す言葉です。「確からしさ」と言い換えることもでき、そのアイデアが実現して新規事業が成功する可能性がどのくらい高いかどうかを意味します。

蓋然性を評価するチェックリスト(例)
・その分野に関する社会や法規制の動きは追い風になっているか?
(例:再生可能エネルギー関連のアイデア➡環境規制の強化により追い風になるから蓋然性がある)

・技術の進歩によって実現可能性が高まっているか?
(例:スマート家電サービスのアイデア ➡ AIやIoTの普及により実現可能性が高まっているから蓋然性がある)

・生活者の価値観や行動はその方向にシフトしているか?
(例:サプリやヘルスケア関連サービスのアイデア ➡ 健康志向の高まりにより生活者の行動がその方向にシフトしているから蓋然性がある)

・海外で既に成功事例が出てきていないか?
(例:サブスク型サービスのアイデア ➡ 欧米で既に成功事例が出ており、日本に波及する可能性が高いから蓋然性がある)

・既存の課題が放置され続けていないか?
(例:自動化・効率化サービスのアイデア ➡ 人手不足という課題が解消されず放置され続けているため、ニーズが強く蓋然性がある)

このような項目を見ながら「◯」が多ければ蓋然性が高いアイデアであると判断できます。一方で、「実現への障害が大きい」「市場のニーズがない」「競合が強すぎる」など、蓋然性の低いアイデアは見送ることになるでしょう。

世の中の変化や技術の進歩、規制や市場の動きから、どの方向に価値が生まれていくかを見極めることが重要です。

4-2. 解決性(顧客の課題を解消し、価値を提供できるか)

新規事業アイデアを評価するうえで欠かせない視点が「解決性」です。

解決性とは、そのアイデアが顧客の課題や悩みを実際に解消し、その結果として顧客に価値を提供できるかどうかを判断する基準です。

もし課題解決につながらなければ、いくら新しい技術やユニークな発想であっても、顧客にとって意味のあるサービスにはなりません。

解決性を評価するチェックリスト(例)
顧客が直面している具体的な課題を解消しているか?
(例:子育て世帯向けの家事代行サービス ➡「時間が足りない」という悩みを解決しているから解決性がある)

解決したときに顧客が得られる価値が明確か?
(例:クラウド会計ソフト ➡ 経理の手間を大幅に削減し、本業に集中できる価値を提供するから解決性がある)

既存の方法よりも優れた解決策になっているか?
(例:オンライン診療サービス ➡ 通院の時間や手間を削減でき、従来より利便性が高いから解決性がある)

顧客にとって優先度が高い課題を扱っているか?
(例:高齢者向けの見守りサービス ➡ 「安全・安心に暮らしたい」という生活の最重要課題を解決しているから解決性がある)

このように、「誰の」「どんな課題を」「どのように解決するのか」を確認することで、解決性の高いアイデアかどうかを判断できます。「顧客の課題を解決していない」「価値につながっていない」アイデアは、解決性がない新規事業アイデアといえます。

新規事業を考えるうえでは新規性に目を奪われがちですが、事業が長く続くためには「顧客の課題を解決しているかどうか」が重要な出発点となります。

4-3. 収益性(ビジネスとして継続的に利益を出せるか)

新規事業アイデアを事業として成立させるために欠かせないのが「収益性」です。

収益性とは、そのアイデアが顧客に支持されるだけでなく、継続的に利益を生み出し、ビジネスとして持続できるかを判断する視点です。

収益性を評価するチェックリスト(例)
市場規模は十分にあるか?
(例:高齢者向け介護サービスのアイデア ➡ 高齢化社会の進展により市場規模が拡大しているから収益性がある)

価格設定と顧客の支払い意欲は合っているか?
(例:クラウド型の会計ソフト ➡ 「効率化による時間短縮」という価値に対して、中小企業も継続的に支払う意欲があるため収益性がある)

継続的な利用やリピート購入が見込めるか?
(例:コーヒーのサブスクサービス ➡ 毎日の消費ニーズがあり、継続的に課金できるから収益性がある)

コスト構造に無理はないか?
(例:ドローン配送サービス ➡ 技術や規制により運用コストが高すぎると収益性が低い。逆にコスト削減が可能なら収益性が高まる)

顧客獲得コストと顧客生涯価値(CACとLTV)のバランスは取れているか?
(例:動画配信サービス ➡ 広告や口コミでユーザーを獲得しやすく、長期的に利用するためLTVが高い。CACを抑えられれば収益性が高い)

「収益性があるかどうか」は市場規模・価格設定・継続性・コスト構造などを見て判断します。

たとえば、製造コストが高すぎる製品や、極端に低価格でしか売れないサービスは、たとえ価値があっても持続が難しくなります。また、顧客獲得コスト(CAC)と顧客生涯価値(LTV)のバランスが悪ければ、長期的な利益は期待できません。

逆に、安定的に供給でき、価格と価値のバランスが取れているアイデアは、持続的な成長が可能です。

収益性を見極めることは、ビジネスとして成り立つかどうかを判断する方法であり、事業化の可否を決める重要な指標です。

5. 新規事業アイデアの展開方法:フレームワークを使う

事例や思考法を使って出した新規事業アイデアは、蓋然性・解決性・収益性の観点から評価した後、実際のビジネスとして成立させるための整理・展開をしていくことが重要です。

フレームワークを使えば、発想の抜け漏れを防ぎ、ビジネスとして成立するために必要な要素をバランスよく検討できます。とくに複数のアイデアが出揃った後、どれを採用するか、どう事業計画に落とし込むかを考える段階で有効です。

5-1. 新規事業アイデアの展開に活用できるフレームワークの例

新規事業の検討に使われる代表的なフレームワークには、ビジネスモデルを可視化するもの、課題や解決策を短期間で整理できるもの、外部環境や強みを分析するものなどがあります。

以下に、代表的なフレームワークと活用方法をまとめました。

【代表的なフレームワークと新規事業アイデアへの活用方法】
フレームワーク 新規事業アイデアの整理・展開方法
SWOT分析 強み・弱み・機会・脅威を分析する方法
・自社の強み(Strength)・弱み(Weakness)と市場機会(Opportunity)・脅威(Threat)を掛け合わせて、活かせる方向性や回避すべきリスクを明確化する
3C分析 顧客ニーズ客(Customer)・競合状況(Competitor)・自社資源(Company)の3視点で事業の立ち位置を把握し、差別化ポイントを整理する
バリュープロポジションキャンバス(VPC) 顧客が求める価値と自社が提供できる価値をマッチングし、提供価値やサービスコンセプトを具体化する
ビジネスモデルキャンバス(BMC) 事業の9要素を1枚にまとめて、価値提案・顧客セグメント・収益構造などを俯瞰し、不足や矛盾を発見して補完する
PEST分析 政治(Political)・経済(Economic)・社会(Social)・技術(Technological)といった外部環境の変化を把握して、追い風・逆風要因を踏まえて事業戦略を調整する
4P/4C分析 製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・プロモーション(Promotion)または顧客視点の4Cでマーケティング施策の方向性を整理して、アイデアを市場投入可能な形に近づける

SWOT分析を活用して新規事業を展開する例
SWOT分析は、自社の「強み・弱み」と市場の「機会・脅威」を整理するシンプルなフレームワークです。新規事業に活用すると、ただ思いついたアイデアを並べるのではなく、「自社が勝ちやすい領域はどこか?」を明確にできる点が利点です。

たとえば「サプリ定期便サービス」を検討するとき 「強み:研究データと物流ノウハウ」と「機会:健康志向の高まり」を掛け合わせれば、「独自研究を活かした栄養サプリのサブスク」という具体的な新規事業アイデアが導けます。

どのフレームワークを選ぶかは、事業開発の目的やフェーズによって決めることが大切です。以下に各フレームワークの活用方法を解説した記事があるので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

5-2. フレームワークを使って新規事業アイデアを作るメリット・デメリット

フレームワークを活用することは、ほとんどの企業にとって有用な方法です。アイデアを体系的に整理し、漏れや偏りを防ぎ、関係者間で共通認識を持ちやすくなるなど、多くの利点があります。

一方で、過信してしまうと「使い方や前提のミス」によるリスクが生じる可能性があります。とくに、選んだフレームワークが目的に合っていない場合や、前提として整理するアイデアそのものが的外れな場合、分析や議論が正しい方向に進まなくなるおそれがあります。

以下に、フレームワークを使って新規事業アイデアを作るメリット・デメリットをまとめました。

フレームワークを使って新規事業アイデアを作るメリット
・アイデアの全体像を整理しやすく、重要な要素の漏れや重複を防げる
・客観的な視点(外部環境・競合・顧客など)から検証できる
・関係者間で共通認識を持ちやすくなる

フレームワークを使って新規事業アイデアを作るデメリット
・型に当てはめること自体が目的化してしまうおそれがある
・フレームワークの選定を誤ると、焦点がずれたり、分析が不十分になる
・前提として整理するアイデア自体が間違っていると、いくら整えても成果につながらない
・いくらフレームワークを駆使しても、顧客ニーズの深い理解までは到達しにくい
・検証が伴わないと机上の空論になりやすい

フレームワークは、あくまで思考を整理し、議論を深めるための「道具」です。過信せず、目的や前提を正しく設定したうえで活用することが重要です。

5-3. フレームワークを使った新規事業アイデアを成功させるポイント

フレームワークはアイデア出し直後ではなく、優先順位づけや事業計画への落とし込みの段階で活用するのが効果的です。

フレームワークを使った新規事業アイデアを成功させるポイント
・1つのフレームワークに固執せず、目的や状況に応じて複数を使い分けること
・フレームワークの結果をもとに、必ず顧客インタビューや市場調査などの検証を行うこと
・市場の変化や顧客ニーズの変動に柔軟に対応し、必要に応じて事業計画を修正・改善していくこと

フレームワークを使って整理した結果はゴールではなく、次の検証ステップにつなげるための準備段階と考えましょう。

6. 新規事業のアイデアをストーリーで考えるアプローチもおすすめ【プロのやり方を紹介】

5章までで紹介したように、先行事例や思考法から着想を得てアイデアをたくさん出し、3つの評価軸でふるいにかけたうえで、フレームワークを活用して展開していく流れは、多くの新規事業開発の現場で採用されている有効なやり方のひとつです。

とくに、新規事業を考えるのが初めての方にとっては、「事例・発想法を活用してとりあえずたくさんアイデアを出す」という方法が取り組みやすいでしょう。

もちろん既存の枠にとらわれずに自由にアイデアを広げていき、そこから絞っていくことも大切ですが、私たち(えそらLLC)では、アイデアとはストーリーで考えるものだと捉えています。

6-1. アイデアは「課題・価値・解決策」のストーリーで構成される

アイデアは「課題」「価値」「解決策」という3つの変数の組み合わせで表現されます。もう少し分かりやすく言い換えると、「どんな悩みを持つ人に」「どんな価値を」「どうやって提供するか」という構造を持っています。

この3つの要素は単に存在しているのではなく、時系列でつながっている点が重要です。つまり、ある課題を抱えた人が何らかの解決策を使うことで、最終的に価値を得る-。こういったストーリーを描くイメージです。

さらにこの「課題・価値・解決策」の中でも、とくに私たちは「問い」(課題)に特にフォーカスしています。

「問い」とは、課題と価値の組み合わせ(すなわち「誰に、どんな喜びを提供するのか」という部分)です。それに対する「どうやって提供するか」を「答え」と呼んでいます。

新規事業においては、この「問い」にフォーカスすべきだと考えています。なぜならば、新規事業は9割以上が失敗すると言われており、その最大の失敗要因が「No Market Need(誰にも欲しがられなかった)」だからです。どれだけ努力してプロダクトやサービスを作っても、そもそもニーズがなければ売れません。

「No Market Need」は、アイデアの「問い」と「答え」のうち、問いの誤りによって起きるとわかっています。つまり、新規事業を成功させるには「正しい問いを見つける」ことに注力すべきなのです。

6-2. 問いを見つけるプロセスは2段階に分かれる

問いを見つけるプロセスは、さらに2段階に分かれます。

  • 問いを選ぶ(=登るべき山を決める)
  • 問いを攻略する(=その山をどう登るかを考える)

「No Market Need」の失敗は、実は前者の「問いを選ぶ」段階で生じているケースが大半です。

世の中に存在するさまざまな手法(MVP、PoCなど)は、ほとんどが後者の「問いを攻略する」ためのものです。つまり「選んだ問いに対してどう進めるか」は教えてくれますが、「どの問いを選ぶべきか」は教えてくれません。

しかし、最大の失敗要因である「No Market Need」は、まさに問いの選定ミスに起因します。だからこそ、いかに早くその誤りに気づくか、いかに早く顧客を深く理解するかが極めて重要です。

私たちが新規事業サポートに入るときには、顧客理解をもとに「解くべき問いを見つけること」を重視しています。

次章では、この「正しい問い」をどう設計するのか、その方法を具体的に解説します。

7. 顧客理解から始める「問い」の設計方法

ここからは、私たちの知見をもとに、顧客理解から始める「問い」の設計方法を具体的に解説していきます。

【補足】「問い」を考える順番について
アイデアは「課題→価値→解決策」というストーリー構造になっていますが、実際に考え始める順番はどこからでも構いません。どうせ行ったり来たりしながら進めていくものだからです。

ただし、説明をわかりやすくするために、ここでは「問い(誰に・どんな価値を)」を先に考え、そのあとに「答え(どう提供するか)」を考える、という基本的な流れで話を進めていきます。

7-1. ターゲット顧客の抱える問題を探る

まずは「問い」のなかでも「ターゲット顧客の抱える問題」を探るステップです。

(1)課題の見つけ方

新規事業で目指すのは「新しい体験を生み出すこと」です。そのためには、まず「今の体験」を知らなければなりません。つまり、今どんな体験が行われていて、それをどんな体験に変えたいのかを知る必要があります。

自分に原体験がない場合は、行動観察などを通じて顧客の体験を深く理解します。このときの重要な視点は「追体験」です。顧客になりきって、その状況、選択肢、影響を与えた情報や人、判断や行動までを一連の流れとして再現します。

(2)注目すべき2つのポイント

ターゲット顧客の抱える問題を探るうえでとくに注目すべきは次の2点です。

  • 顧客が気づいている「不」:不満や不安など、顧客自身が明確に嫌だと感じていること
  • 習慣に潜む潜在ニーズ:無意識に繰り返している行動に隠れた、本来の迷いや好み

これらの視点は、行動観察などのリサーチ手法でよく使われており、私たちもこの考え方に基づいて課題やニーズを探っています。

(3)ニーズの有無だけでなく「強さ」も検証する

課題の検証は「ニーズの有無」を確認するだけでは不十分で、大事なのは「ニーズの強さ」のほうです。

ほとんどのニーズはゼロかイチかではなく、ある程度は存在しています。重要なのは「そのニーズが他の選択肢と比べてどれだけ強いニーズか」を検証することです。

生活や業務の中で多数のタスクがあるなか、対象の課題がどれだけ優先度高く解決されるべきものなのか、という相対的な位置づけを理解することが重要です。

また、その課題を「なぜ回避できないのか」「なぜ今もなお解決されていないのか」といったハードルの理解もセットで必要です。そうした理解をもって初めて「追体験レベルで理解した」と言えます。

本人が気づいていようがいまいが、顧客は「逃げることも解決することもできない中でやりくりしている」わけであり、その状況を丸ごと理解することが重要です。

次に、この課題に対してどのような価値を提供するかを考えていきます。

7-2. 課題に対しての「価値」を定義する

課題に対して顧客がどんな感情を抱いているかを理解することで、「ではどんな感情に変えてあげればよいのか」が見えてきます。

たとえば「小学生を家で1人で留守番させるのが不安だ」という課題に対しては、「子どもの安全を確保して、親子ともに安心できる状態を作る」ことが価値になります。

このように、「不安 → 安心」と感情を変えてあげることが価値の定義の一つになります。ただの逆転関係というだけでなく、「どう変えるか」「どう広げたり大きくしたりするか」などを意識することが大切です。

価値のコントロールに必要な2つの軸(方向性・飛距離)
・方向性の違い:家の中の安全性を高める vs 地域全体の安全性を高める
・飛距離の違い:現実的な未来(子どもとすぐ連絡が取れる仕組み) vs 非連続な未来(SPのような存在が常時見守ってくれる)

一つの課題に対しても、方向性や飛距離によって価値の形は大きく変わってきます。これらをうまくコントロールすれば、「今すぐ実現できそうな手堅いアイデア」から「将来を見据えたチャレンジングなアイデア」まで幅広く展開可能です。

実際、課題・価値・解決策の3つの変数の中で最も難しいのが「価値」です。課題はリサーチによってある程度ファクトベースで発見できますが、価値は「発想ベース」なので自由度が高く、逆に考えるのが難しいのです。

7-3. 答え(解決策)を発想する

次は、問いに対する答え(解決策)を発想するステップです。

先に立てた「問い」がしっかりしていれば、解決策としての「答え」を考えることはそれほど難しくありません。問いが適切に立っていれば、答えは自然と導き出されてくるからです。

しかも、通常は一つだけでなく、複数の「答え」としてのアイデアが出てくるはずです。

もし、ここで「何も思いつかない」「どう考えていいかわからない」と感じるのであれば、それは問いがまだ粗いか、あるいは顧客のことを十分に理解できていない可能性が高いといえます。

このときにポイントになるのは、「初期段階ではどの答えにするか、あまり悩みすぎないこと」です。

というのも、どれだけ精緻に考えたつもりでも、そのアイデアを実際に顧客にぶつけてみると、初期のアイデアというのはどんどん変わっていくからです。つまり、ここで考え込んで細部まで詰めたとしても、それがそのまま通用することはほとんどなく、むしろ無駄になることも多いのです。

したがって、ここでは「良さそうなものをいくつか挙げて、その中から2つほど選び、顧客に当ててみる」という軽やかなスタンスで進めるのが良いと思います。

要するに、深く悩み込まず、仮説としていったん投げてみる。そして、そこから学びながら修正していく。それがこのステップの本質だと考えています。

7-4. 問いと答えをセットにしてアイデアを検証する

ここまでのステップを経たうえで、いよいよ検証フェーズに入っていきます。

なお、前ステップ(答え・解決策の発想)と、これから説明する検証ステップは、どちらを先にやるのかが問題になることがあります。つまり、「問い → 検証 → 答え」と進むのか、あるいは「問い → 答え → 検証」と進むのかです。

私たちがおすすめするのは後者の「問い → 答え → 検証」の順です。なぜかというと、「問い」と「答え」は単体で評価するのではなく、セットで検証・評価した方が本質に迫れるからです。

たとえば、問いが魅力的であっても、それが解けない(=実現困難)ものであれば意味がありません。逆に、答えにインパクトがなければ、問いの良さも発揮されません。結局、顧客にとっての価値というのは「問いの良さ」と「答えの良さ」の掛け合わせで決まるわけです。

だからこそ、「問い」と「答え」を一緒にぶつけてみる。そして、顧客からのフィードバックを通じて問いと答えを磨いていく。これが本質的な検証の進め方です。

また、前述したとおり、初期のソリューションアイデアはどうせ変わります。顧客にぶつけてみることで、「あ、この問いじゃなかったな」「本当に求めていた価値はこっちだったな」と気づくことが多々あります。

そうすると、問いが変わります。問いが変わると、当然、答えも変わります。つまり、ソリューションアイデアが変わるのです。

この一連の流れ(問い → 答え → 検証 → 問いの見直し → 答えの見直し……)というサイクルをぐるぐると回すことが、新規事業開発の実態です。そして、ある段階でソリューションの形が固まり始めてきます。

7-5. 仮説検証サイクルを回し続ける

初期フェーズにおいては、ソリューションアイデアを完成させることが目的ではなく、「正しい問いを見つけるための媒体として仮のアイデアを使う」くらいの意識でちょうど良いでしょう。

私たちは、このプロセスを「仮説を可視化し、それを顧客にぶつけ、対話を通じて学習し続けるプロセス」として捉えています。手段は変わっていきます。ストーリーボード、モック、PoC、プロダクト……しかし、本質的にやっていることは変わりません。

プロダクトでさえ、仮説を可視化する手段の一つにすぎません。プロダクト開発が始まると、それが目的化してしまうケースを多く見ますが、それは本末転倒です。プロダクトでさえ仮説検証の一部だという前提を忘れずにいたいと思っています。

そして、この問い探しのサイクルは、ローンチ前だけでなく、ローンチ後も続きます。少なくともPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を達成するまでは、問いを磨く活動は止まりません。

新規事業のアイデア創出というのは、「発想1割・検証9割」と捉えるのが適切です。

初期には「いいアイデアを出さなきゃ」と悩む方が多いのですが、実はそこが重要なのではありません。重要なのは、その後に続く仮説検証のプロセスです。

発想力に自信がないことを気にする必要はありません。むしろ、思いついたものをもとに仮説をつくり、それを顧客にぶつけて学ぶ、というサイクルにこそ価値があります。

仮説検証は、形こそ変わっていきますが、本質は一貫しています。そして、この検証サイクルが続く中で、やがてPMFを迎える瞬間がやってくる。その時点で、ようやく「問いが定まり、プロダクトも定まってくる」わけです。

このように私たちは、プロダクトも仮説を可視化する手段であり、仮説検証の一部だと捉えています。ここを見誤って、プロダクトを完成品として作ることが目的になってしまうと、検証サイクルが途切れてしまいます。

大事なのは発想力よりも、仮説を顧客に当てて学び続ける姿勢です。

8. 新規事業アイデア作りに行き詰まったらプロに相談しよう

新規事業のアイデアを具現化するのは、経験があっても簡単なことではありません。とくに7章で解説したように、顧客理解から正しい「問い」を見つけ、仮説検証を繰り返して磨き上げるプロセスは、経験や専門知識がなければ想像以上に難易度が高い作業です。

ましてや社内に新規事業開発の知見やリソースが十分にない場合、進め方や検証方法に迷い、時間や予算を浪費してしまうリスクがあります。

こうした状況で頼れるのが、新規事業開発を専門とする外部パートナーです。とくに顧客理解を起点にした仮説検証サイクルを重視する専門家と組むことで、「売れないリスク」を最小化しながら事業化に近づけることができます。

私たち「えそらLLC」では、「早く、賢く失敗する」をコンセプトに、新規事業のアイデア創出から検証までを一貫してサポートします。

新規事業は成功させるのが難しく、その9割が失敗するとも言われています。そのわずかな成功確率を高める秘訣が「早く、賢く失敗する」ことにあると、わたしたち「えそらLLC」は考えています。

えそらLLCの新規事業に対するスタンス
・早く失敗する:アイデアが出たらすぐ顧客との対話を開始し、受け入れられるかを検証
・賢く失敗する:顧客から得たフィードバックを分析・改善に活かし、次の試みに反映
・価値を体験してもらう:MVP(最小限のプロダクト)を用意し、「お金を払う価値」を評価
・対話の仕組みを作る:えそら独自のインタビュープラットフォーム「pivo」で継続的に顧客理解を深める

えそらLLCの新規事業アイデア支援
新規事業を成功に導くには、「早く賢く失敗する」ことが重要です。高リスクな一発狙いではなく、具体的な顧客層を明確にし、「どのような価値をどう届けるか」を徹底的に検証することが求められます。私たちは、このプロセスを通じて、市場に受け入れられるアイデアの創出を支援します。

こんな方におすすめ
・0→1で事業を立ち上げたいが、なにから始めるべきかわからない
・プロセスは理解しているが、専門家に伴走してほしい
・既にプロダクトをローンチしているが、コンセプトやアイデアを見直したい
・ローンチはしたが軌道に乗らず、どこから見直すべきか見極めたい

えそらLLCのアイデア創出支援の事例としては、以下のようなものがあります。

  • 家庭学習の観察から仮説を立て直し、累計販売5万台超のヒット商品を生んだ事例(コクヨ株式会社 様)
  • 「大事な相談は対面」という心理的ハードルを超え、注文住宅のオンライン相談を実現(株式会社NTTデータ・スマートソーシング 様)
  • インタビューによる仮説検証で外国人向け就職支援サービスをローンチ(株式会社ゴーリスト 様)

もしも「やるべき新規事業の方向性が見えない」「アイデアは出たが確信が持てない」という段階でお悩みなら、まずは「無料カジュアル相談会」をご活用ください。現状の課題を言語化し、次に踏み出すためのサポートをさせていただきます。

カジュアル相談
・新規事業の仮説検証をしたい
・第三者視点で問題を指摘してほしい
・失敗リスクを最小限に抑えたい
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まとめ

本記事では「新規事業アイデアの創出」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

◆新規事業アイデアとは?優れた新規事業の事例16選

◆新規事業アイデアの出し方1:先行事例から発想する

  • 先行事例から新規事業アイデアを作るステップ
  • 先行事例から新規事業アイデアを作るメリット・デメリット
  • 先行事例から新規事業アイデアを作るときのポイント

◆新規事業アイデアの出し方2:思考法を活用する

  • 思考法を活用して新規事業アイデアを作る方法
  • 思考法で新規事業アイデアを作るメリット・デメリット
  • 思考法を活用して新規事業アイデアを作るときのポイント

◆新規事業アイデアの評価方法:3つの軸で判断する

  • 蓋然性(アイデアの実現可能性はどのくらい高いか)
  • 解決性(顧客の課題を解消し、価値を提供できるか)
  • 収益性(ビジネスとして継続的に利益を出せるか)

◆新規事業アイデアの展開方法:フレームワークを使う

  • 新規事業アイデアの展開に活用できるフレームワークの例
  • フレームワークを使って新規事業アイデアを作るメリット・デメリット
  • フレームワークを使った新規事業アイデアを成功させるポイント

◆顧客理解から始める「問い」の設計方法

  • ターゲット顧客の抱える問題を探る
  • 課題に対しての「価値」を定義する
  • 答え(解決策)を発想する
  • 問いと答えをセットにしてアイデアを検証する
  • 仮説検証サイクルを回し続ける

できるだけ社内で初心者でも創出できる新規事業アイデアにこだわって説明しましたが、もしもアイデア作りに行き詰まったらお気軽にご相談ください。

監修者

喜多 竜二

えそら合同会社 代表社員/HCD-Net認定人間中心設計専門家

2009年にUXデザインを専門とする「えそら合同会社」を設立、これまでに新規事業をはじめとする200を超える事業を支援してきた。自身は人をより良く理解するための認知心理学を専門とし、生活者に対する共感を出発点としたアイデア創出に力を入れている。東京大学工学部卒業、シドニー工科大学大学院修了。

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