あなたは、新規事業開発で「どんな外部パートナーを選ぶべきか」で迷ったことはありませんか?
「開発会社のほうがいい?」「UXデザイン会社に頼むべき?」「でも、うちの状況に本当に合っているのは…?」──そんなふうに頭を抱えた経験がある方も多いはずです。特に、事業の行方を左右する初期フェーズでは、パートナー選びは重たい決断になります。
実際、成功している企業の多くは外部の力を戦略的に取り入れています。新規事業は “未知との遭遇” の連続。社内の経験やリソースだけに頼るより、外部の知見やスキルを組み合わせるほうが、成功の確率は格段に高まります。
とはいえ、誰でもいいわけではありません。9割が失敗するといわれる新規事業には、共通する “急所” があり、それを押さえるパートナーこそが成功への鍵を握ります。
この記事では、その急所の見極め方から、社内を説得する方法までを事例とともに解説します。読み終えたときには、「うちのフェーズに必要なのは、こういうパートナーだ」という輪郭がはっきりと見えるはずです。それでは、一緒に考えていきましょう。
目次
1. 新規事業を成功させるパートナーは急所を押さえている
新規事業の世界では、「9割が失敗する」といわれるほど厳しい現実があります。経験豊富な担当者でさえ、例外ではありません。その中で成功をつかむためには、単なる知識や経験だけでは不十分です。パートナー選びの最大のポイントは、失敗の原因を未然に防ぐ “急所” を押さえているかどうか。
ここでは、成功している企業が重視している3つの急所を紹介します。
急所1:売れないリスクの回避
新規事業において最大の壁は、「売れないリスク」です。米国の調査会社 CB Insights が2018年に公表したデータによれば、スタートアップの失敗理由として最も多いのが No market need(42%)──つまり市場にニーズがなかった、というものでした。私たちも新規事業の現場に向き合う中で、この統計をよく引用しますが、それは新規事業にも同様の傾向が見られるためです。

出典:https://www.cbinsights.com/research/startup-failure-reasons-top/
この「売れないリスク」は、多額の開発費と時間を投じた後に明らかになることも少なくありません。私たちが相談を受けた事例の中にも、ローンチ後に「そもそも必要とされていなかった」と判明し、方向転換すら難しい状況に追い込まれていたケースがありました。
このリスクを避けるには、完成品ができる前に顧客理解にもとづく検証を行うことが欠かせません。アイデアを思いついた段階で顧客と対話し、反応を確認し、必要なら修正する──このサイクルを早期に回すことで、「売れない」未来を未然に防げます。パートナーを選ぶ際には、この検証プロセスを初期から組み込めるかどうかが極めて重要です。
急所2:圧倒的な実行力
構想力やアイデアの質はもちろん重要ですが、それと同じくらい──いや、それ以上に重要なのが「実行力」です。新規事業は仮説の可視化と顧客との対話、そのループをいかに早く、多く回せるかが勝負を分けます。
例えば、学習サービスの開発を考える場合、
- 自分の苦手がわかる
- 自分にあった教材が見つかる
- 学習習慣が身につく
など、満たすべき条件は多岐にわたります。こうした複数の仮説は、机上では検証できません。ユーザーの反応を得ながら精度を上げていくしかありません。
ここで必要なのは、一発勝負ではなく試行回数を稼ぐ力です。1回の仮説検証が1カ月かかるチームと、2週間で回せるチームでは、1年後に蓄積される学びの量がまったく違います。成功しているパートナーは、この検証サイクルを高速で回し続ける仕組みと覚悟を持っています。スピードと反復の力を備えたパートナーこそ、新規事業の不確実性を突破できる存在です。
急所3:組織の正しい判断
新規事業では、「『進める』か『やめる』かの判断」が常について回ります。しかも、この判断は既存事業よりも格段に難易度が高いものです。理由は単純で、十分なデータや確かな実績が存在しない状態で、将来を見越した意思決定を下さなければならないからです。
さらに、組織の中では判断を歪めるさまざまな要因が働きます。担当者やチームがアイデアに抱く愛着、既存計画との整合性を優先したいという思惑、上層部の意向や政治的な配慮──こうした「人間らしい」要素が、客観的な市場の声や検証データよりも強く意思決定に影響してしまうことは珍しくありません。結果として、冷静な撤退判断が遅れたり、方向転換の機会を逃したりします。
このズレを防ぐには、新規事業の特性に合った判断基準と体制をあらかじめ設けておくことが不可欠です。たとえば、リスク・実現性・将来性といった不確定要素をどう評価するかを事前に明文化し、評価の基準とプロセスをチーム全体で共有しておくこと。さらに、データや顧客の声をもとに議論できる環境を整え、感情に左右されない仕組みを持つことです。
こうした体制を備えたパートナーは、プロジェクトを「進める」べきときと「やめる」べきときを冷静に見極め、必要な場面では迷いなく提案できます。その存在は、まさにあなたの事業の “生死” を左右する安全弁となるでしょう。
2. 新規事業にパートナーが必要な理由
意外に思うかもしれませんが、新規事業を熟知した経験者ほど「外部パートナーは欠かせない」と断言します。その背景には、実際の成功体験や苦い失敗から得られた共通の教訓があります。ここでは、その理由を3つに絞ってお伝えします。
2-1. 新規事業は、高度な専門性が求められる仕事だから
新規事業を社内リソースだけで進めようとすると、思わぬ落とし穴にはまりやすくなります。最大の理由は、求められる専門性の幅と深さです。既存事業の延長線ではなく、未知の領域を形にするためには、社内にはないスキルや知見が必ず必要になります。
必要とされる専門性は、例えば次のようなものです。
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未知の体験を構想・具現化する力
まだ存在しない価値や体験を、具体的な形に落とし込む能力 -
未来の顧客インサイトを理解する力
現在のニーズだけでなく、将来顧客が求めるであろう本質的な価値を見抜く能力 -
洞察をもとに意思決定する力
不確実な状況でも、得られた示唆をもとに方向性を定める判断力
これらは従来の知見や手法を流用できるものではなく、初期段階での判断がその後の全工程を左右します。
たとえば、既存事業で新しい工場を立ち上げるとします。経験のないメンバーだけで計画から施工まで進めれば、工期の遅延やコスト超過、安全性の問題が発生する可能性が極めて高いでしょう。だからこそ、建設経験者や設備エンジニア、法規制や安全基準に詳しい担当者など、適切な専門家を必ずチームに加えます。
新規事業でも同じです。顧客理解や検証方法に熟練した外部パートナーを早期に迎え入れないと、方向性の誤りに気づくのが遅れ、「売れないプロダクト」に多額の投資をしてしまうリスクが高まります。経験や知見を持つ伴走者を加えることは、成功確率を高めるための当然の判断なのです。
2-2. 実行を下支えする仕組みの有無によって、スピードも成功確率も変わるから
新規事業では、仮説検証のスピードがそのまま成功確率に直結します。1回の検証サイクルを半分の時間で回せれば、試行回数は倍になり、得られる学びも倍増します。これは単なる効率化ではなく、「勝てる確率を高める構造」をつくることです。
ところが、その加速を阻む大きなボトルネックのひとつが「顧客との対話」です。顧客インタビューの設計から対象者のリクルート、実施、分析までをすべて自社で行うと、1回の仮説検証に3〜4週間かかることも珍しくありません。
一方、実績あるパートナーはこのプロセスを短縮する仕組みを持っています。
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インタビュー対象者のプールを持っている
顧客層にすぐアクセスでき、顧客と会うだけで数週間かかる事態を避けられます。 -
検証用のフレームワークやテンプレートを持っている
インタビュー設計や分析が型化されており、初回から高い精度で進められます。 -
フィードバックを即座に反映できる体制がある
収集した示唆をその日のうちにチームへ共有し、次のアクションに反映できます。
こうした仕組みを持つパートナーと組めば、検証サイクルを1〜2週間で回せるようになり、学びの質も量も飛躍的に向上します。逆に言えば、仕組みがないまま進めると、仮説の精度は上がらず、時間だけが過ぎていくリスクが高くなります。
新規事業における「実行力」とは、個々人の頑張りや根性ではなく、このような高速で学びを積み上げるための仕組みをいかに持てるかにかかっています。その仕組みを提供できるパートナーは、事業の成功確率を大きく押し上げる存在なのです。
2-3. バイアスを避け、判断の質を高めるには第三者視点が欠かせないから
新規事業における意思決定を歪める最大の要因のひとつが、「バイアス」です。限られた情報や少数の事例から判断せざるを得ない場面が多く、どうしても主観や思い込みに引きずられます。これは経験の浅い担当者だけでなく、豊富な実績を持つ人でも避けられない人間の特性です。
代表的なバイアスには、例えば次のようなものがあります。
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確証バイアス
信じたい情報や自分の仮説を裏付ける情報だけを集めてしまう。 -
楽観バイアス
根拠が乏しくても「自分だけはうまくいく」と過信する。 -
アンカリング
最初に得た情報や意見に引きずられて、判断が固定化される。 -
サンクコスト効果
投じた時間や資金を惜しむあまり、引き返せなくなる。
こうしたバイアスは、意識的に気をつけても完全には排除できません。だからこそ、中立的な第三者の視点が必要になります。第三者は、プロジェクトに感情的な利害関係を持たず、事実やデータに基づいて冷静に状況を評価できます。
たとえば、顧客インタビューの結果が当初の仮説と異なっていた場合、内部チームだけでは「もう少し改善してから再度試そう」と判断しがちです。しかし、第三者であれば「この仮説は一度捨てるべき」と客観的に提案し、早期撤退や方向転換を促せます。
判断の質を保つための “構造” を外部から取り入れることは、長期的な成功確率を大きく高めます。パートナーに求めるのは、単なるアドバイスではなく、バイアスを超えて事実ベースで意思決定できる環境を提供する力です。
3. 新規事業を成功させるベストパートナーを選ぶ7ステップ

新規事業の成功確率を高めるためには、パートナー選びが極めて重要です。単なる外注先を探す感覚ではなく、事業の成否を左右する“伴走者”を見極める意識が必要です。
ここでは、自社の目的や課題に応じて最適なパートナーを選ぶための7つのステップを紹介します。
Step1. 自社に足りないものを見極める
まず着手すべきは、「自社に何が足りないのか」を正しく把握することです。ここを誤ると、パートナー選びは方向を間違え、結果としてリソースの浪費につながります。
不足には、大きく分けて次の2種類があります。
-
目に見えやすい不足:
開発スキル、資金、人員など、数字やスキルシートで把握できるもの -
目に見えづらい不足:
仮説検証の知見、顧客理解の手法、組織としての意思決定力など
特に後者の「見えづらい不足」は、多くのチームで見過ごされがちです。そして、その見落としが「No market need」──市場にニーズがなかったという失敗を招きます。
一見できているように見えて、実は不十分な領域こそ注意が必要です。パートナー選びの第一歩は、この “盲点” をあぶり出し、補うべき領域を明確にすることから始まります。
Step2. どこからどこまでを依頼するかを決める──ワンストップ型かミニマム型か
パートナー選びでは、「誰に依頼するか」と同じくらい「どこまで任せるか」が重要です。依頼範囲の設定を誤ると、コストやスピード、成果物の質に大きな影響が出ます。
まずは、次の2つの型を理解し、自社の状況に合わせて選びましょう。
-
ワンストップ型:
戦略設計から開発、マーケティングまでを一括で任せる
例:ゼロから新サービスを立ち上げたい企業が、企画からローンチ後の集客まで全て外部に委託するケース -
ミニマム型:
特定の急所だけに絞って依頼する
例:社内に開発チームはあるが、顧客理解や仮説検証のノウハウがないため、その部分だけを専門パートナーに依頼するケース
ワンストップ型のメリットは負担軽減と一貫性ですが、コストや価値観の相性が課題になることもあります。一方、ミニマム型は自社の流儀に合わせやすく、費用を抑えながら仮説検証を加速することができるでしょう。
特に、顧客理解にもとづく「売れないリスクの回避」は、多くのチームに不足しがちな力であり、最初に検討すべき領域です。
Step3. 依頼のスタンスを決める──実務代行か推進力獲得か
パートナーを選ぶときは、「何を任せるか」ではなく「何のために任せるのか」を明確にすることが重要です。このスタンスを誤ると、「成果物は手に入ったが事業は一歩も進んでいない」という事態に陥りかねません。
新規事業では、限られた時間とリソースの中でどう進めるかの設計力が成否を分けます。この領域は高度な専門性を要し、経験者でも迷うことが多い部分です。パートナーに求める役割は大きく分けて次の2つです。
-
実務代行:
依頼された作業や工程を代わりに行い、成果物を納品する。 -
推進力獲得:
事業全体を前に進めるための設計や意思決定も含め、成果の最大化を目的とする。
「実務代行」では、成果物は手に入りますが、仮説検証の精度やスピードは依頼元の設計力に左右されます。一方、「推進力獲得」では、方向性を定める段階から関与するため、全体の整合性やスピードが向上します。
「実務代行」で成果物だけは得られたものの、肝心の仮説検証が回らないまま時間だけが過ぎてしまう──そんなケースは少なくありません。推進力を補うスタンスで依頼することが、成功に近づく確率を大きく高めます。
Step4. 急所への対応力を見極める──問いを探索する十分な力を持っているか
新規事業の成否は、「誰にどんな喜びを提供するのか」という問いの精度で決まります。ここを誤れば、その後の検証や開発はすべて間違った方向に進み、どれだけ頑張っても売れないプロダクトができてしまいます。
この「問い」には、大きく2つのフェーズがあります。
-
問いを選ぶ:
市場や顧客の中から、どの課題を解くべきかを見極める。
例:語学学習サービスを構想するときに、
「忙しい社会人が短時間で効率よく学べる方法を探している」という課題を解くのか、
それとも「海外旅行前の短期集中で会話力をつけたい層」に焦点を当てるのかを見極める。
この段階での誤りは、その後の検証すべてを間違った方向に導きます。 -
問いを攻略する:
選んだ問いを検証し、解決策の精度を高めていく。
例:「海外旅行前の短期集中層」をターゲットに決めた場合、実際に1週間で会話力を高める教材やアプリのMVPを作り、ユーザーに試してもらいながら改良していく。
この段階では、選んだ問いに対して解決策を磨き込むことが中心になります。
多くの失敗は「問いを選ぶ」段階での誤りに起因します。顧客の実態を深く理解する前に「これなら売れるはず」と決めつけると、その後の検証は間違った前提に縛られます。MVPやPoCなど “問いを攻略する” 段階も重要ですが、その前にどんな問いを選ぶかの力量こそが試されます。顧客の生活や行動に深く入り込み、まだ言語化されていない課題や欲求を見出す力を持つパートナーを選びましょう。
Step5. 正しい判断ができる体制かを見極める──進めることありきではない構造を持っているか
新規事業では「やめる」という判断を下すのが難しく、多くの組織やプロジェクトは進めることにインセンティブが発生する構造を持っています。その結果、検証で否定的な結果が出ても「改善すれば進められるはず」という結論に流れやすく、撤退が遅れてしまいます。
重要なのは、パートナーがどう主張しているかではなく、進める方向に偏らない判断を構造として担保できているかです。確認すべきポイントは以下です。
-
進めることに直接的なインセンティブが発生しない構造を持っているか
例:検証フェーズと開発フェーズを組織的に分離している、検証担当に売上目標を課していないなど。 -
進める方向にインセンティブがある場合、その影響を抑える仕組みを持っているか
例:外部評価者や第三者レビューを必ず入れる、検証評価基準を事前に明文化しているなど。
検証の場で否定的な結果が出たとき、それを冷静に受け止めて「やめる」という選択肢を堂々と提示できるか──ここで本当の信頼関係が試されます。逆に、そのような構造がなければ「せっかくここまで進めたのだから」「もう少し改善してみよう」という甘い判断が常態化します。結果、何千万円ものコストと数カ月の時間を失い、しかも市場で勝てない事業だけが残ります。
不都合な事実をも直視し、進める・やめるの両面で最適解を提示できるパートナーこそ、あなたの事業に本当の意味で寄与します。
Step6. 再現性を見極める──実績の有無よりもどんな型を持っているか
過去の成功事例は魅力的ですが、それだけでは十分ではありません。重要なのは、その成果を安定して再現できるかどうかです。再現性は以下のような「型」の有無で判断できます。
- 事業開発全体のプロセス
- 仮説を可視化するためのフレームワーク
- 顧客と対話するための仕組み
- 明文化された意思決定の基準
こうした型を持つパートナーは、属人的な勘や偶然に頼らず、誰が担当しても一定の成果を再現できる強みがあります。逆に、型を持たずに「過去の経験談」に依存している場合、その成功は環境やタイミングが偶然かみ合った結果であり、あなたの事業で再現できる保証はありません。
再現性は、短期的な成果以上に長期的な価値をもたらします。なぜなら、その型は事業終了後も社内に残り、次の挑戦にも活かせる資産になるからです。単発の成功ではなく、継続的に成果を生み出せる仕組みを持っているか──これがパートナー選定の最終的な判断基準になります。
Step7. 担当者の力量を見極める──まずは壁打ち相談で見てみる
最終的に差を生むのは、パートナー企業そのものの規模や実績ではなく、実際に担当する人の力量と、あなたとの相性です。優れた型や体制があっても、それを活かしきれるかどうかは担当者次第だからです。
力量を見極めるには、契約前に短時間でも直接やり取りをすることが効果的です。特におすすめなのが「壁打ち相談」です。実際の課題やモヤモヤをぶつけてみることで、担当者が次のような力を持っているかを判断できます。
- もやもやを言語化する力
- 本質的な論点を見抜く力
- 視点を切り替える思考の柔軟性
- 急所を捉えて先を見通す力
- チームに寄り添う姿勢
壁打ちは、いわばパートナー選びの試食のようなものです。短時間でも、やり取りの中でこちらの意図を正確に汲み取り、示唆や具体的な行動案を提示できるかで、その担当者の力量がはっきりと見えてきます。
そして、この段階で「この人とならやっていける」という感覚を持てるかは、成果に直結します。プロジェクトは長期戦になりやすく、方向転換や難所を共に乗り越える場面も必ず訪れます。そこで信頼関係を築ける相手かどうかを、事前に確かめておくことが大切です。
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まだ依頼を決めていない段階でも構いません。モヤモヤや不安を話すだけでも、次に踏み出す方向が見えてきます。まずはお気軽に、お問い合わせください。
4. パートナーを迎え入れるタイミング
パートナー選びでは、「誰に」声をかけるかだけでなく、「いつ」声をかけるかが重要です。タイミング次第で、パートナーから得られる成果は倍にもなれば半減もします。ここでは、特に効果的な2つのタイミングを紹介します。
4-1. 不安や迷いがあるとき
新規事業を進めていて、
- この進め方で本当にいいのか?
- 今のやり方で成果は出せるのか?
そんな不安や迷いがあるなら、まさに今が相談のタイミングです。
進め方に自信が持てなければ、最後までやり抜くことが難しくなります。結果として、成功に不可欠な実行力の土台が揺らぐことにもなりかねません。
例えば、チーム内で進め方の議論ばかりが長引いていたり、方向性を何度も変えている場合は要注意です。限られた時間の中で、仮説検証を何度回せるかが勝負になるため、迷っている時間そのものが最大の機会損失になります。
こうした時こそ、進むべき方向を客観的に指し示してくれるパートナーの存在が大きな助けとなります。不安や迷いを抱えている今こそ、相談を始めるベストタイミングです。
4-2. 開発に入る前に──方向転換できる最後のタイミング
多くの人が「アイデアが固まったら相談しよう」と考えがちですが、実はこれは最も失敗しやすいパターンです。理由はシンプルで、開発に入ってしまうと方向転換が難しくなり、売れないリスクを抱えたまま進んでしまうからです。
私たちが200以上の事業を支援してきた経験からも、本当の難所は「何をつくるのか」を決めるフェーズにあります。ここを誤れば、その後どれだけ頑張っても、結果は売れないプロダクトになってしまいます。
特に注意したいのは次のような状況です。
- 顧客理解が不十分なままアイデアが固定化している
- 検証よりも開発スケジュールが優先されている
- 「作れば売れる」という前提で動いている
こうした状態で開発に入ると、後から市場の声を受けても方向修正が難しくなります。売れないリスクを回避するには、開発前にパートナーと一緒に問いを磨くことが重要です。
開発前だからこそ、パートナーの知見と客観性が最大限に活きます。方向性を固める前に専門家を入れることで、手戻りや無駄な投資を最小化し、成功確率を飛躍的に高められます。
5. パートナー導入を社内説得する方法

新規事業にパートナーを導入したいと思っても、社内での合意形成は簡単ではありません。特に「自社でやれるのでは?」「費用が高い」など、経営層や関係部署から反対意見が出ることは珍しくありません。
しかし、ここを乗り越えなければ、必要な支援を得られずに事業が停滞してしまう恐れがあります。社内説得で大切なのは、反対意見を正面から否定するのではなく、その背景にある不安や懸念を理解し、納得感のある説明に変えることです。
この章では、よくある反対意見ごとに、説得の切り口と具体的な説明方法をご紹介します。あなたの状況に合ったアプローチを選び、社内合意をスムーズに進めていきましょう。
5-1. 「高い」と言われたら──コストに対する合理性を説明する
パートナー導入費用を提示したときに、最も多く返ってくる反応の一つが「高い」という声です。ここで重要なのは、金額そのものではなく、その費用が果たす役割を正しく理解してもらうことです。
新規事業におけるパートナー費用は、“保険” のような役割を持っています。もし顧客理解や検証が不十分なまま進み、失敗すれば、損失は数千万円規模になることも珍しくありません。それに比べれば、パートナー費用はごく小さな投資です。
実際に、私たちが支援したお客様でも、現場の担当者は前向きだったものの、社内の決裁者から「費用が高いのでは?」と問われたケースがありました。そのときに、私たちからはこうお伝えしました。
「もし5,000万円の開発投資を進めた後に “市場にニーズがなかった” と判明すれば、その投資は丸ごと無駄になります。しかし、検証のためにそのわずか10%にあたる500万円を先に投じることで、失敗のリスクを大幅に減らせます。これは追加コストではなく、投資を守るための必要経費です」
この説明により、経営層の納得を得て、パートナー導入につながった例があります。
このように、「高いか安いか」ではなく、「投資を有効なものにするための費用」という視点に切り替えてもらうことで、金額への抵抗感は大きく和らぎます。
5-2. 「うちでやれる」と言われたら──スピードが上がる仕組みの必要性を説明する
「やろうと思えば自社でもできる」という意見はもっともに聞こえますが、新規事業の成否を分けるのは “できるかどうか” ではなく “どれだけ早く正しく進められるか” です。
新規事業では試行回数が成果に直結します。仮説検証のスピードを倍にできれば、試行回数も倍になり、成功確率は飛躍的に高まります。逆に、自社だけで手探りしながら進めると、迷いや調整に時間を取られ、試行回数が稼げません。
パートナーを入れる最大のメリットは、スピードを倍増させる仕組みやノウハウを即座に導入できることです。これにより、迷う時間をなくし、顧客との対話や検証を短期間で回せるようになります。その結果、量を質に転化できる環境が整い、成功への距離が一気に縮まります。
ですから、説得の際は「やれるかどうか」ではなく、「どれだけ早く・正しく進められるか」に議論を移すことが効果的です。スピードが競争力そのものになる新規事業では、この視点が決定的な意味を持ちます。
5-3. 「他人に任せるのは無責任」と言われたら──経験者ほど第三者を入れる理由を説明する
「責任を持つなら自分たちだけでやるべき」という意見は一見もっともらしいですが、新規事業の成功確率を高めるためには、むしろ第三者を積極的に迎え入れる方が “責任ある判断” です。
なぜなら、新規事業は不確実な情報の中で意思決定を繰り返すため、バイアスの影響を強く受けやすいからです。確証バイアスや楽観バイアス、サンクコスト効果など、人間が避けられない心理的傾向が判断を歪めてしまいます。自分たちだけで進める場合、この罠から逃れるのは極めて難しいのです。
実際、日本有数の新規事業実績を持つ企業でも、重要な局面では必ず外部の視点を取り入れています。これは「気合や知見があれば大丈夫」という思い込みが通用しないことを、数々の経験から理解しているからです。
つまり、第三者を入れることは無責任ではなく、むしろ成功のためのリスクマネジメントです。反対意見には、「責任ある担当者こそ、あらゆる手段を検討すべきだ」という視点で返すと説得力が増します。
5-4. 「成果が不確実」と言われたら──スモールスタートを提案する
新規事業は本質的に不確実性が高く、「成果が出るか分からないのに費用をかけるのは…」という反対意見が出やすい領域です。こうした場合は、まずは小さく始めて確かめる “スモールスタート” を提案しましょう。
成果が不確実だからこそ、小規模な取り組みでパートナーの実力を見極めるのが合理的です。実力のあるパートナーであれば、短期間・限定的な支援でも価値を感じさせてくれるはずです。
例えば、次のような始め方があります。
- 壁打ち相談やカジュアル面談:
1〜2時間のディスカッションで課題の整理や仮説の方向性を確認する - 検証1サイクル分の支援:
アイデアの検証を1回だけパートナーと実施し、スピードや質を体感する - 特定フェーズの限定支援:
顧客インタビューや市場調査など、急所だけを依頼する
こうしたスモールスタートを経て「この人たちとなら進められる」と確信が持てれば、徐々に契約範囲を拡大すればいいのです。反対意見を抑えつつ、リスクを最小化できる現実的なアプローチになります。
5-5. 「成長機会が奪われる」と言われたら──早く深く学べることを説明する
「外部に任せると社内メンバーの成長機会が減る」という意見もよく耳にします。しかし、実際には経験者であるパートナーを入れることで、むしろ成長は“早く・深く”進むことが多いのです。
理由はシンプルです。初心者だけで新規事業を進める場合、初歩的なミスを繰り返し、貴重な時間を失いがちです。これでは学びの密度が低く、事業の成否を分ける局面まで到達する前にリソースが尽きてしまいます。
一方、経験豊富なパートナーと組めば、最初から高いレベルで勝負できます。例えば顧客インタビュー一つでも、“使えるレベル” に到達するまでに通常は何年もかかりますが、経験者と一緒に取り組めば、数回の実践で質の高い成果を出せるようになります。
つまり、外部パートナーは成長のブレーキではなく加速装置です。成長を奪うどころか、短期間で現場に通用するスキルと視座を身につけられると説明すれば、納得感を持ってもらいやすくなります。
6. まとめ
本記事では、新規事業開発におけるパートナー会社選びについて、その必要性から選び方、タイミング、そして社内説得の方法まで解説してきました。新規事業は9割が失敗すると言われますが、その多くは「売れないリスク」を避けられなかったことが原因です。この最大のリスクに立ち向かうためには、経験や知見を持ったパートナーの存在が不可欠です。
特に重要なのは、パートナーを「単なる外注先」ではなく、事業の急所を押さえて伴走してくれる存在として捉えることです。自社に不足している力を補い、問いを磨き、正しい判断を担保する構造を持ち、再現性のある型と経験を兼ね備えたパートナーは、成功確率を大きく高めます。
また、パートナー導入のタイミングは、不安や迷いがあるとき、そして開発に入る前が理想です。この段階で知見と客観性を取り入れることで、後戻りできない方向に進んでしまうリスクを防げます。さらに、社内説得では「コスト」「自社でやれる」「無責任ではないか」「成果が不確実」「成長機会が奪われる」といった反対意見への論点整理が効果的です。
もし、今まさにパートナー選びに悩んでいるなら、まずは壁打ちやカジュアル相談から始めてみることをおすすめします。小さく試すことで、パートナーの力量や相性を確かめながら、最適な一歩を踏み出せます。
新規事業は不確実で困難な道のりですが、正しい伴走者とともに進めば、その確率は着実に変わります。本記事の内容を参考に、あなたにとってのベストパートナーを見つけ、新しい挑戦を成功へと導いてください。












