UXプロジェクトを進める際、どの部分を外注に出すか、どの部分を内製で対応すべきか、その判断は事業開発の成功に直結します。
例えば、「デザイン要件の整理」はその代表で、外注先に考えてもらうものではなく、定期的に自分たちで考えておくべきものになるでしょう。 これらを知っているか否かで、事業開発の成功にも大きく関わってきます。
本記事では、UXデザインの依頼に関する判断をサポートするため、4つのカテゴリーに分けて選択のポイントをQA形式で詳しく解説します。
※本記事は、弊社が開催したセミナー「外注すべきでないUXプロジェクトについてあれこれ語ります!」で頂いた質問とその回答をもとに作成しています。
目次
1. 成功するUXデザインの依頼:外部専門家の活用方法
UXデザインは事業の成果に直接影響する領域であり、その取り組み方一つで成功と失敗が分かれることもあります。特に、どの部分を外部の専門家に依頼し、どの部分を自社で担当するかは重要な判断ポイントです。
ここでは、外部の専門家を活用して知識を補完し、最大の成果を上げるための戦略と方法を考えてみましょう。
Q:内製か外注か、どのように判断すればいいでしょうか?
具体的にどのような内容の場合、内製で対応するのか、または外注すべきなのか知りたいです。
A: プロジェクトの内製か外注かの判断は、プロジェクト単位よりも役割分担の観点から考えることが重要です。基本的には、ノウハウがないもので予算があれば外注するのが一般的なルールです。
ただし、すべてを外注するのではなく、内部に残すべき部分と外部に委託する部分との役割分担が必要です。
インタビューやユーザーテストの具体的な実施は外部に委託してもよいですが、顧客との対面での理解や咀嚼は内部で行うべきです。リサーチの専門的な部分は外注して、役割分担を行うことが最適です。
Q:自社でUX向上に取り組んでいますが、ノウハウがない部分については、どのように補完するべきでしょうか?
A: ノウハウがない部分については、外から補完するのが良いと考えます。
UXデザインの市場とノウハウが進化してきましたが、自社でノウハウを開発するのは時間がかかりすぎるため、外部からの補完が効果的です。
その際には、経験者とのOJT(On the Job Training)スタイルが、実務レベルのノウハウを身につけるための最良の方法といえるでしょう。
ただし、単に外部のデザイン会社などからノウハウを学ぶだけでは不十分で、実際の業務に取り組む中での学びが必要となってきます。受け皿としての体制が整っている場合、研修によるノウハウの底上げは効果的ですが、受け皿がない状態で、研修だけを行っても、実務レベルのノウハウ習得は難しいため注意しましょう。
新規事業開発でのUXデザインの外注判断については、別記事でもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
2. UXデザインの依頼時に外注で避けるべきポイント
外注は多くのメリットをもたらす一方で、注意すべきポイントも存在します。
特に、プロジェクトの核心に関わる部分は、できる限り自社で取り組むのがおすすめです。
ここでは、UXデザインの依頼時に外注で陥りがちなトラップや避けるべきポイントについてお答えします。
Q:「要件定義」はなぜ外注すべきでないのでしょうか?
また、これ以外にも外注すべきでないものがあれば知りたいです。
A: 要件定義に関しては、プロダクト開発を意識した前提部分での議論となり、プロダクトを通じてどのような体験や価値を届けるかという仮説を自社で考える必要があります。
この仮説には正解がなく、経験豊富なデザイン会社に依頼しても、彼らも同様の検証を行う必要があります。したがって、その前提部分に関しては、できるかぎり自社で主体的に考えて進めていくのがおすすめです。
外部のサポートは、進め方や議論の整理としての補助的な役割で活用するのが適しています。
また、要件定義の段階でのパートナーシップを結ぶ際には、どの部分を自社で担当し、どの部分を外部に依頼するかという役割分担を明確にすることが重要です。
3. UXデザインを社内で推進できた企業の共通点
日本でも多くの企業がUXデザインの重要性を認識し始め、取り組み始めていますが、社内での浸透具合も各社様々です。
果たして、どのような企業がUXデザインの推進に成功しており、その成功要因は何なのでしょうか。
ここでは、弊社が過去にご支援してきた企業様の事例を元に、共通しているポイントを交えてお答えします。
Q:UXが大事といいながら時間を割けないという日本企業は多いのでしょうか?どのようなポジションの方が推進していけているのか現況パターン、事例があれば教えていただきたいです。
A: 日本の企業におけるUXの取り組みの遅れについて、具体的な国際比較のデータは示せませんが、特定の職種、例えば専任のUXリサーチャーやリサーチオプスマネージャーのような職種が海外では確立しているのに対し、日本ではまだ少ないのが現状です。
しかし、ここ数年でUXに取り組む企業が増えてきています。
例えば、私たちが過去にご支援してきた成功している企業さまを分析していくと、成功している企業の特徴として、下記が挙げられます。
・役員レイヤーや事業部のトップからの号令が出ており、組織全体での取り組みとして認識されていること。
・実務面では、デザインとリサーチのスキルの両方が必要とされるため、デザイナーがリサーチのスキルを学ぶ方が効果的であるとの認識していること
・組織面では、プロダクトベースでの取り組みが主流。プロダクトマネージャーやオーナーがUXデザインの取り組みの旗振り役となっていること
4. UXデザイン依頼時の外注先の選び方と成功のポイント
適切なパートナーを選べるかどうかで、プロジェクトの成功が大きく左右されます。
しかし、UXデザインを外部に依頼する際、パートナーとして信頼できるかどうか、どこで判断すればいいのか迷うことがあるのではないでしょうか。
ここでは、UXデザインの依頼時の外注先を選ぶ際のポイントや、失敗を避けるための具体的な準備方法についてお答えしていきます。
Q:外部のコンサルを活用して効率的に課題解決を進めていくために、信頼できるコンサルティング会社の選び方の重要なポイントと、失敗しないためにできる準備について教えてください。
A:
<信頼できるコンサルティング会社の選び方のポイント>
・自社で内製すべきところを明確にする
自社が持つ課題や失敗体験を明確にし、コンサルティング会社には、それを踏まえたアドバイスやファシリテーションを求めるべき。
・コンサルタントの具体的な説明を求める
「伴走します」というような抽象的なフレーズだけでなく、具体的な方法や考え方を明確にしてもらう
・担当者の個人の能力を確認する
一般的な説明やプロセスの説明ではなく、具体的な課題解決の方法や思考プロセスを理解する
<失敗しないためにできる準備 >
・明確な質問をする
例えば「ターゲットをいつどのように決めるのか」という基本的な質問を通じて、コンサルタントの考え方や手法を確認する。
・具体的な課題に基づいた提案を求める
一般論やテンプレートのような答えではなく、具体的な課題やプロジェクトに基づいた提案を求めることで、コンサルタントの能力を確認する。
UXデザインの依頼に関するまとめ
UXプロジェクトを進める上で立ちはだかる内製と外注の選択は、事業の成功に直結する重要なポイントです。
今回は、内製・外注の判断のポイントや、信頼できるパートナーの選び方についてご紹介しました。
UXデザインを専門家に依頼する際のご参考にしていただけました幸いです。
えそらLLCでは、UXデザインの内製・外注問わず、様々なご相談に対応しております。
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